小説

□ムカつく、大好き、愛してる
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なんであいつはまた来てるんだ……っ!
くそっ!!

「臨也ぁぁぁッ!!!ぶっ殺す!!」
「シズちゃん、それしか言えないの?ワンパターン。」
「…っざけんな!殺す殺す殺す殺す!」
「ははっ、楽しぃ〜♪」

臨也は周りの人に俺が投げる物が当たらないように考えているのか、裏路地の方へ逃げて行く
そしてそれを全速力で追いかける俺
…あんの糞ノミ蟲…!!

裏路地の行き止まりに着いた臨也はくるりとこちらを向いた
「……ふぅ」
「悪かったな、行き止まりだ」
だが臨也は余裕の笑みを見せた
「悪い?そんなコトはないよ?だってここにはシズちゃんが投げる物は無いんだからさ」
「!!」

……それが狙いだったのか…
…ん?
……いや、今日は…

「…臨也悪かったな」
背中側に手を回しトムさんに貰った物を持つ
「投げなくても戦えるん……だっっ!!!」
一気に臨也の方へ走る

「おぉっと…」
軽くふわりと避ける臨也
「シズちゃんが刃物なんて繊細な武器使えるの?…あぁあ、俺の服が破れちゃったよ」
臨也はまだ余裕の笑みを浮かべながら自分の右肩を見た

俺がトムさんにもらったのは小型ナイフ
刃の面積は小さいものの切れ味は良いみたいだ
少ししか力を入れなくても布はスッパリ切れた

「ふん…ナイフがあればお前も……」
俺は言いたかった事を最後まで言わなかった
いや、言えなかった

臨也はいつの間にかすぐ目の前の今にも鼻が付きそうな所に居た。
俺の右手首を握る力はそれ程強い訳ではなかったので振り払えば逃げれたのだろうが、俺にはできなかった

「ねぇシズちゃん、ナイフはね?近距離武器なんだよ?ならもっと近づかなくちゃねぇ?」
「なっ……!」
挑発するような表情で下から覗き込んでくる臨也
俺の手首を握る手の力が強まる
「痛っ…」

なんで逃げないんだ?
なんで足が動かない?
逃げたい……けど、
ここに居たい………?
「臨也…離せ…………っ!」
そう強要したがその声は届かず、
むしろ、

唇を塞がれた




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