小説

□夢のなかでは幸せに。
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「ここは……」
街中。
見覚えがあるな……どこだったか……
沢山の人に埋まりじっと立つのもままならない
…仕方ない、道の端にでも座ろう

何度も景色を見回す
……思い出した
池袋だ。
しかもよく来た所じゃないか
よくシズちゃんがこの辺に居るから、っておちょくりに来たっけ。
…て、なんで俺こんなに頭動くの遅いんだ?
すぐ分かるくらいよく来てた場所なのに。
何か変だ。
街の人達も多すぎるこんなに多い訳がない
何が変なんだ?
なんか…フワフワする
気持ち悪い

「臨也!」
「!!」
誰かの声が聞こえて振り返るそこには背の高い、金髪の、ここで何度も出逢った人物が居た
「シズちゃん…?」
「久しぶりだね!!」
「えっ!!?あ…あぁ、そうだ…ね…」

…………
……変にも程があるんじゃなか…?
もう、誰だよコレ!
いや、シズちゃんだけど!
「最近会わなくなったから心配してたんだよ?」
「……あ、そ」
シズちゃんは俺を見たら殺しに来るし、久しぶりかどうかなんて覚えてないし、俺を心配したりしないし…

「元気そうで良かったよ!!」

こんな笑顔で喋らないし………

これ絶対偽物じゃないか
てか本物だったら嫌だ。
なんだよこの好青年キャラみたいな喋り方
鳥肌ものだな…
じゃぁ……………
……夢…か…?

「どうかした?」
シズちゃんが下から俺の顔を覗く
「!! なんでもないよ…うん…なんでも…」
そんな心底心配してるみたいな表情しないでよ
…気持ち悪いなぁ
「俺が呼んだのに遅れちゃってごめんね」
え、何、待ち合わせてたの?
「あぁ、別に…」
「ちょっと来てくれないか?」
「………………」
…これが夢な事は完全に分かったよ
だって気持ち悪すぎるもの(笑)
…少しくらい遊んでやろう。

「…あぁ、いいよ。」
後で思ったんだ
俺は夢で遊んだのではなく、夢に遊ばれてたんじゃないか?って。



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