めいん・海賊

□KILL
1ページ/2ページ


「なぁ……、」

「…ん??」

「殺してくんね…??」


ため息と一緒に零れおちた言葉は、この冷たい夜にはあまりにも似合いすぎていた。











「…………、は?」


この距離で言ったんだぜ??俺の言葉聞き逃すはずがない。

それでもゾロは、ぽかんと口をあけて聞き返してきた。


「て、め……今なんつった??」

「だーかーら…殺してって言ったの。俺を、」


もう一度、今度は分かりやすくゆっくりと言ってやった。

するとゾロの眉間に、みるみるうちにシワがよった。

おーおー、
なんておっかねぇツラしてやがんだよ。


「……はあ??何言ってんだよ、突然。」


ゾロはそう言うと立ち上がって、俺の頭を撫でた。


「訳わかんねぇこと言ってんじゃねぇよ。…疲れてんだ、てめぇ。今日は早く寝ろ。」


今日不寝番のゾロは、酒のビンを持つと、扉に向かって歩き出した。







「……不安に…なるんだよ」


取っ手に手をかけたゾロの動きが止まる。


「不安になるんだ…時々、……お前が…、俺のこと本当に好きなのかって…」


先に好きになったのは俺。告白したのはお前。

まさかの両想い。
男同士なのに、
犬猿の仲だったのに、

今は恋人同士。



なぁ、これって…



「これって…出来すぎてねぇ……?」


不安になる。

これは本当に現実か??
俺の都合のいい夢なんじゃねぇのか??




「俺は…、レディじゃねぇ。
ナミさんみたいに頭がいいわけでもない。ロビンちゃんみたいに美人でもない。ビビちゃんみたいに可愛くもない。」

「…。」



だから…、
何でお前が俺を好きになったかも分からない。



「お前と結婚できるわけじゃない。」

「…。」

「子どもなんて産めるわけじゃねぇし、」

「…。」

「幸せの家庭なんて…築けるわけでもねぇ。」

「…。」





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ