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□気づいて
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私は朝からうきうきしていた。
普通の生徒は憂鬱になるかもしれない。
なぜなら今はテスト期間の真っ最中で、
おまけにそのテストのための補習中だからだ。
『せんせーここわかりませーん』
「はいはい、今そこ説明するから」
そんな誰もがいやがる補習に結構な人数が集まるのも、
先生の教え方が上手いからだと思う。
投げやりな態度だけど、人気がある先生。
『これはこうじゃないの!?もう分からんー!』
「だからすぐ投げ出さない。これは−−」
『ふむふむ〜』
人気があるのは、男子にもだけどやっぱりカッコイい先生は女子にモテるわけで。
憧れている女子生徒は沢山いる。
で私もその中の一人。
先生は私の担当クラスじゃないから
こういう補習の時くらいしか見ることができない。
だから、話しかけたりしたいんだけど…
『あー!!なるほどー!分かった〜!せんせーの教え方分かりやすい〜お礼のチューあげちゃう!』
「いらないから。はい、次進めるぞー」
ああダメだ。
ああいう他の女子生徒と仲良そうな場面見ちゃうと心が痛くなる。
だからなるべくその会話を聞かないようにするんだけど
気になるから、自然と聞こえてきてしまう。
泣きたくないけど、泣きそうになる。
私だって・・・先生のこと・・・
気づいて。先生。
そんな時先生と目があった。
「どうした?何か分からないところがあるのか?」
「え!?・・・あ!はい、これが分からないんですけど・・・」
急に先生が話しかけてきたので、びっくりしてしまった。
だって、ホントに先生がこっち向くとは…
そして適当に私が指を指した所は、今やっている内容よりずっと先の内容だった。
「ここか〜確かに難しいなー教えるとなると時間かかりそうだな…」
「あ、ごめんなさい。大丈夫です。」
恥ずかしい。なんで私はいつもこうなんだ。
先生に教えてもらえるチャンスだったのに。
「補習の終わりにでよければ教えるけど。お前、残る?」
「・・・え?・・・は、はい!お願いします!」
「はい。いい返事。」
と言って先生は黒板の方へ戻っていった。
今私はどんな顔をしてるだろう。
先生の言葉一つでこんなにもドキドキするなんて。