鋼の錬金術師短編夢
□思い人
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「お前・・・図面もだけど病院いいのかよ・・・」
「・・・あぁ!?」
エドワードさんの突っ込みに、そうだったと言わんばかりに頭に手を当てて慌て始めるのはマルセルだ。
あれだけテンション上げて語っていたのに忘れてたんですか貴方は・・・
でも傷の具合の事もありますし、行かないとまずいんじゃないですかね・・・
「〜〜〜・・・っ仕方ない、キャンセルの電話入れるわ・・・」
「えぇ?でも傷の具合平気なんですか?毎日受診するよう言われてるんでしょう?」
「傷よりあの人に会えないほうが残念!けど・・・こっち急がないといけないだろ?」
"大丈夫"というように、おもむろに部屋にあった電話を取りダイヤルを廻すマルセルを横に、エドワードさんへと耳打ちするボク。
だってほっとけないですよね・・・
病気や怪我なんて・・・悪化したら命に関わる事だってある・・・
擦り傷からだって・・・場合によっては破傷風になったりする事だってあるのだから・・・
"エドワードさん、カノンさん呼んで見てもらうことって出来ないですかね?"
"姉貴を?あぁ、まぁそれは大丈夫だろうけど・・・そこまで気にしなくて平気じゃねぇ?"
"何言ってるんですか、縫うくらいの怪我ですよ?万が一って事もあります。・・・まぁ勿論カノンさんの都合次第ではありますけど・・・"
"それなら今日丁度近くの図書館に用があるって言ってたからついでにここに寄ってもらえばいいだろ、もともと怪我人とかほっとけるような奴じゃねぇしな、言えば二つ返事で来るだろ"
"はは、カノンさんらしいですね"
そんな会話をしていると、電話をしていたマルセルが一際大きな声を上げた。
びっくりした・・・どうしたんだろう、妙に笑顔で・・・というかにやけてます・・・・
満面の笑みで電話を切ったかと思えば、凄く上機嫌で話題をふってきた。
「いや、もうやばいわ・・・聞けよお前ら!!」
「なっ・・・なんですか?」
「うるせーよマルセル、ついに脳みそ沸騰したか?」
「はっ、お前のそんな憎まれ口も今の俺には無意味だ!!なんと往診してくれるそうだ!!」
「あぁそう・・・よかったじゃねぇの・・・」
「ちょ、エドワードお前!分からんのかこの女医先生の優しさが!!」
「・・・何がだよ」
あぁ・・・エドワードさんほんとにめんどくさそうな顔してます・・・
いや、まぁ確かにこのテンションの高さにはボクもちょっとひくものがありますけど・・・
思い人に会えるって事に関しては、まぁ・・・嬉しいのも分からなくもないですしね・・・
そういえば往診に来てくれるって事はカノンさんに来てもらうことも無いのか・・・少し、残念かな・・・