鋼の錬金術師短編夢

□思い人
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「恋煩いで死にそう・・・」

「「「「は?」」」」



大学の研究室で設計図とにらめっこをしていたら突如聞こえてきたそんな台詞。

ボクもエドワードさんも、室内に居た他のメンバーも突然の脈絡の無い言葉に訳が分からず、思わず出たのはそんな声だった。



「ほれこの腕、昨日怪我して病院行ったって言ったじゃん?」

「それは聞いた、そこからなんでんな話しになんだよ・・・」



マルセルの台詞に不機嫌そうに答えるのはエドワードさん。

ボクやヨゼフ、ニクラスの三人はそんな二人の会話を、様子を伺うようにして聞いていた。



「そこで俺の事担当してくれた女医の先生がさー、ものっ凄い美人で優しくてよー!まさに一目ボレってやつだ!」

「あっそう・・・」



さほど興味無さげに呟くエドワードさんに対して、ヨゼフとニクラスの二人はいろめきたっていた。



「おいなんだよエドワード、その興味なさげな返答は!」

「いや、だって興味ねぇし・・・」

「ま・・・まぁまぁエドワードさん・・・マルセルは今日も病院に行くんですか?」



ボクが話を続けたのが嬉しかったのか、マルセルの顔が笑顔になる。

よっぽど好きなんですね、その人のこと・・・



「そ!今日もこれから行くところでさー!結構傷が酷かったみたいで暫くは毎日来いって言われてんだ!」

「怪我して病院行くの喜んでどーすんだよ・・・」



そう言うエドワードさんは心底呆れたような表情・・・

その時だ、研究室の扉が開き、そこには教授の姿があった。

とたんに皆顔を引き締めて椅子を立ち、一礼する。



「あぁ皆、気にせず作業を進めなさい。マルセル君に用があってきたんだ」

「あ、はい!なんでしょう?」

「すまないが君の担当している部分の設計図、今日中にあげて出してもらえないか」

「き・・・今日中ですか!?」

「何とかなるかね?」

「・・・・は、はい!大丈夫です!」

「そうか、では頼んだよ」



それだけ言うと教授は早々に出て行った・・・けれど・・・

マルセル大丈夫ですかね・・・、あの設計図随分苦労してたような気がするんですけど・・・
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