鋼の錬金術師短編夢

□やきもち
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『大丈夫か?アル・・・』

「ん・・・だい・・じょ『ダメだな・・・』・・・」


そう言ってボクの額に手をのせるカノン。

少しひんやりとした手が冷たくて気持ちいい。


『だいぶあるな・・・薬を・・・と言いたい所だが、何か食べられるか?』

「あんまり・・・食欲ないなぁ・・・」


元の身体に戻って初めて風邪をひいた。

あまりの久しぶりな風邪の感覚に妙にだるく感じる。

シンという慣れない土地での生活にちょっと疲れていたのかもしれない。

セキは全然だけど熱が異様に高いみたいで、ずっとカノンが付き添ってくれてる。

不謹慎だけど、ふと横を見ると常にカノンの姿が目に入るのがなんだか嬉しかった。


『咽の腫れも酷いな・・・リンゴでも摩り下ろしてこよう。
それくらいならなんとか入るだろ?』

「ありがと、姉さ・・・カノン。」


慌てて言い直すボクに、カノンはクスクスと笑って頭を撫でた。


『そんな無理に呼ばなくてもいいんだぞ?』

「はは・・・流石になかなか・・・抜けないや・・・」

『呼び方云々で気持ちが変わるわけじゃなし、気にするな。
ほら、いいから静かにしてろ。すぐ戻ってくる』

「うん」


ボクの瞼にキスを落として部屋を出て行く姉さんを目で追って、ひとつ溜息。

姉さんであり恋人のカノン・・・

まだそうなったばかりで、なかなか姉さん呼びが抜けない。

カノンは気にしてないけど、やっぱりボクとしてはちゃんと名前で呼びたいんだよね。

でも産まれてからずっと姉さんって呼んでたから、ついつい反射的にでちゃって・・・


チリリン


ん・・・?

玄関のベル?誰か来たのかな・・・

部屋にまでボソボソと話し声が聞こえるけれど、何を話しているのかはさっぱり分からない。

声がちょっと高い・・・女の人かな・・・

そんな事考えてたら扉が開いた。
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