鋼の錬金術師短編夢
□大好き
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「おなか空いたな〜、早く帰って姉さんのご飯食べよっと!」
ボクは空腹を感じながら家への道を歩いていた。
ここはシン、メイの所で錬丹術を学んでいる最中だ。
シンにはもともと姉さんが長期滞在用に買っていた部屋があったから、そこを住まいにしている。
姉さんも錬丹術と錬金術、そして医学の総合活用法の研究をより高度なものにする為に一緒に来ていた。
毎日姉さんと一緒に食事して、朝起きたらおはようって言い合って、なんだかとても幸せだ。
「アルフォンス、お前ほんとにカノン好きだな」
「まーあんだけ優しくて何でも出来る美人だし分からんでもないけどな」
「はは、最高の姉さんだよ」
何・・・なんでザンパノさんそんなにニヤニヤしてるの・・・
「お前それだけじゃないだろ?」
「先延ばしにしてると伏兵にさらわれるぜ〜?」
「もーいいでしょ!ほっといてよ!」
更に自分についてきたザンパノさんとジェルソさんは行動も共にすることが多い。
故にボクの姉さんに対する気持ちも知られてしまい、兄弟仲がいいのも手伝って、こうやってからかわれるのも日課のようなものになっていた。
ボクだって分かってる、姉さんに気持ちは伝えたいけど、今のこの関係が壊れそうな気もしてなかなか言えないんだ。
姉さんは家の中に研究室を設けているから常に家にいる。
ボクが帰るといつも夕食の支度をしててさ、キッチンから顔を出て『お帰り』と言ってくれるのが普段の光景。
ザンパノさん達と別れ自分の家のドアノブに手をかけようと手を伸ばす。
でも、中から聞こえる話し声に手が止まった・・・
『こらリン!だめだまだ入れたら!』
「えー、もういいデショ?」
『駄目!もっと・・・・あっ!』
「大丈夫、美味しいのにはかわりないカラ」
どういうこと・・・リンが遊びに来るのはいつもの事だけど・・・でも・・・
扉越しに聞こえてくる会話に、記憶に新しいザンパノさんの台詞がボクの頭の中でぐるぐると回っていた。
《先延ばしにしてると伏兵にさらわれるぜ〜?》
「ほら、いくヨ〜」
『リン、ちょっとまっ・・・!』
気がつけば壊れんばかりの勢いで玄関のドアを開け、中に押し入っていた。
目頭が熱い・・・あぁボク今どんな顔してるんだろ・・・
「何してんだよリン!姉さん!!」
こんなに大声出したのいつ振りかな・・・
・・・・・あれ・・・?