鋼の錬金術師長編夢

□脱獄
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「リザ、停めてくれるか?」



無言のまま・・・運転席に座る中尉は脇に車を寄せ停車すると、カノンはそのまま車から降りた。

開いたドアに手をかけたまま、自分の背を見つめているであろうロイへと言葉を放つ・・・



「すまんがやる事が出来た・・・暫くは司令部に顔を出すのはやめておく。ロイもリザも・・・私が中央に居る事は他言しないでおいてくれ・・・」

「・・・分かった、何かあれば連絡しろカノン」

「ロイ、私はカーラ。間違えないでいただける?」



そう、それは連絡するときはその名前で入れるという意思表示・・・

"中央には居ない"のだと言ったカノンから、自分が動いているのが知られたくないという事が見て取れる。

口調まで普段と違うものだから一瞬ロイも驚いたが、次の瞬間にはうっすらと笑みを浮かべ答えていた。



「そうだったなカーラ、済まない。連絡待っているよ」

「えぇ、ではまたね、ロイ」

「あぁ、また・・・」



翌朝・・・

ロイは執務室で朝刊に目を通していた。

しかしその表情は険しく、新聞を片手に何かを思案しているようだ。

それもそのはず、その新聞には昨日カノンが言ったようにマリア・ロス少尉をマース・ヒューズ准将殺害事件の"犯人と断定"・・・そう報じられている・・・

ロイは執務室でその新聞の事について意見を求めるが、やはりブレダもその記事については"行動が派手すぎるのでは?"と疑惑の声を上げる。

さてどうしたものかと考えを巡らせていると、軍の受付からカーラと言う金髪女性の面会人が居ると呼び出しを受けた。

名前こそ昨日聞いたばかりの聞き覚えのあるものだったが、いかんせん金髪の女性とはどういうことか・・・

それにカノンは暫く軍部には顔を出さないといっていた・・・

どういうことかと受付のところまで足を進めると、そこに居た女性の立ち姿に息を呑む・・・

通りすがる者も、男も女も関係なく・・・そこに佇む金色の髪を持つ女性に見とれていた・・・

すべらかな長い髪はサイドテールに纏められ、その髪を纏めているのも綺麗に結われた細い三つ編み。

タイトなワンピースはとても上品で、袖口には細やかなレース。

口元には鮮やかなピンクのルージュ・・・顔立ちは言わずもがな。

ロイは自分の顔が緩むのを必死に引き締めながらも女性の元へと歩み寄り声をかける・・・



「こんにちはお嬢さん、私をお呼びですか?」

「えぇ、執務中にお呼び立てして申し訳御座いませんマスタング大佐」




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