鋼の錬金術師長編夢
□切欠
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『さて・・・どうするかな・・・』
カノンは未だ自分の病室で悩んでいた。
とはいってもそんな深刻な話ではない。
単純に着る服のことで頭を巡らせていた・・・
着替えようとトランクから自分の服を出したところまではよかった、しかしそれを着ようと広げ、はたと見た瞬間・・・
『これ・・・着ていたんだよな私・・・』
今更ながらにその服装が恥ずかしくなったようで、身につけるのを躊躇っていたのだ。
少し違うだろうか・・・
服装自体が恥ずかしいというよりは、その露出の多さに初めて羞恥を覚えたようで、その服でエドワード達の前へ出るのが恥ずかしくなったようだ。
極端な自分の変化に戸惑いつつも、とりあえず服装をどうしたものかと考える・・・
おもむろにトランクから替えの同じ服を取り出し、2着分の服の前で手を合わせた。
その手を服へと触れれば、ノースリーブの黒いハイネックシャツと、真紅のスキニーパンツが練成されていた。
『うん・・・これでいいな』
その仕上がりに満足するようにそれを身につけ、いつものジャケットを羽織る。
着替えが完了するとカノンは急ぎ、エドワードの部屋へと向かった。
部屋の前にはロスとブロッシュが見張りのような形でドアの左右に立っているのが見えた。
カノンは心配させてしまったであろう二人に、申し訳なさそうに声をかけ部屋へと入れば、そこにはアームストロングとヒューズとともに、研究所での出来事に頭を巡らせているエドワードとアルフォンスの姿があった。
『エド、アル。すまんな待たせたか?』
「姉さん!もう・・・大丈夫なの?」
『あぁ、平気だよアル。心配かせてすまなかったな』