鋼の錬金術師長編夢
□真実
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「・・・しんどいな」
「・・・・うん」
静まり返った部屋でエドワードとアルフォンスの声がやけに響く。
その表情はもはや無表情に近く、声にもいつもの覇気が無くなっていた・・・
「なんかこう・・・・手の届く所に来たなと思ったら逃げられて・・・それの繰り返しで・・・
やっとの思いでつかんだら今度はつかんだそいつに蹴落とされてさ・・・
はは・・・神様は禁忌を犯した人間をとことん嫌うらしい
オレ達
一生このままかな・・・」
エドワードの落胆した声と台詞に、アルフォンスもまた同じ事を感じていたのか無言のまま・・・
暫くの間を置き、何か考え込んでいた風のエドワードが口を開いた。
「・・・・なぁアル、オレさ・・・ずっとお前に言おうと思ってたけど怖くて言えなかった事があるんだ・・・」
「何?」
言葉を続けようとするがなかなか声が出てこない、それほどまでにその事はエドワードを苦しめていたようだった。
意を決して口を開こうとしたとき、それは外から聞こえる賑やかな声によって阻まれてしまった。
(ちょっ・・・お待ちください!!)
(二人とも休んでいるところですので・・・)
「「!?」」
何事かとエドワードとアルフォンスも扉の方へと目をむけ様子を伺う。
暗かった表情が次の瞬間聞こえてきた声によりみるみると青ざめた。
「エルリック兄弟!!居るのであろう!?我輩だ!!ここを開けんか!!」
扉の外に居るであろう人物を想像し、二人は頭を抱えた。
「どうしよう?」
「シカトだシカト!!鍵かかってるし居留守決め込むぞ!!」
しかしアームストロングによって破壊されたドアノブにより進入を許してしまった。
「聞いたぞエドワード・エルリック!!
なんたる悲劇!!賢者の石にそのような恐るべき秘密が隠されていようとは!!
しかもその地獄の研究が軍の下で機関で行われていたとするならばこれは由々しき事態である!!
我輩だまって見過ごす訳にはいかん!!」
涙を流しながら一人観照に浸っている少佐を横目に、黙っておいて欲しいと告げたはずのロスとブロッシュに講義の意を込めてエドワードは拳を握り締めて睨みつける。
しかしロスもブロッシュも、本来ならば言うつもりはなかったのも事実。
ただあの筋肉質で暑苦しい少佐に詰め寄られれば、喋らざるをえなかったようだ。
申し訳なくも青ざめて謝罪を述べるロスの傍で、エドワードの右腕をみてふと気付いたように話題を変えたのはブロッシュだった。