鋼の錬金術師長編夢
□不安
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「・・・姉さん?」
『アルか、どうした・・・?』
静まり返った深夜の家の中。
いつもなら一人夜をもてあましているアルフォンスは、ふいに部屋を出たところで1つの部屋に明かりがともっているのに気がついた。
エドワードの機械鎧も直り、アルフォンスの鎧も直った。
ウィンリィも作業を終え寝ているはず、不思議に思いその明かりのついた部屋をノックしてみれば、そこはカノンの部屋だった。
柔らかい微笑を自分に向けて部屋に迎えてくれるカノンに嬉しくなる。
眠る事の出来ないアルフォンスはいつも、一人の夜を過ごしていたから・・・
「それはこっちの台詞。どうしたのこんな時間に・・・寝ないの・・・?」
『・・・寝ないというか・・・ちょっと、な・・・』
机に向かってパソコンとにらめっこしていたカノンはアルフォンスの姿に嬉しくなる。
アルフォンスはベッドへと腰を下ろし、カノンの様子を眺めていた。
「明日結構早く出るみたいだし、もう寝た方がいいよ・・・?」
『大丈夫だよ、いつもの事だか「いつも・・・?」・・・ぁ・・・』
その言葉に驚いた。
アルフォンスが把握している限りでも、カノンはいつも6時くらいには起きてエドワードの朝食を準備してくれたりしている。
すでに現在時刻は深夜2時を過ぎている、しかしそろそろ寝るふうでもない・・・
違和感を感じずにいられないアルフォンスは気がついたら立ち上がりカノンにつめよっていた。
「姉さん・・・・?いつも何時くらいに寝てるの・・・?」
『・・・・4時・・・か5時くらいかな・・・・』
「ほとんど寝てないって事じゃないか!なんでそんな無茶・・・!」
『大丈夫だよ、アル。』
そういって笑うカノンの顔は儚げで、ただ目的の為にそうしているのではないだろう事がアルフォンスにも分かった。
カノンもその戸惑っている様子が分かるのか、アルフォンスの手を引き二人でベッドに腰掛けた。