鋼の錬金術師長編夢
□食卓
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「よぉ大将、迎えに来たぞ」
太陽が傾き空が赤く染まり始めた頃、ハボックはエドワードとアルフォンスを迎えにタッカー邸に足を運んだ。
タッカーに邸内に通されエドワード達の所まで案内されると、エドワードがアレキサンターに押しつぶされうめき声を上げているところだった。
「・・・・何やってんだ?」
「いやこれは資料検索の合間の息抜きと言うかなんと言うか!」
「で、いい資料はみつかったかい?」
「・・・・・・・」
タッカーに問われるも言葉が出てこず、なんとも気まずい空気が流れる。
その空気を破ったのはタッカーだった。
「・・・・・また明日来るといいよ」
「お兄ちゃんたちまた来てくれるの?」
遊んでもらえて嬉しかったのか、ニーナは期待を込めた目で二人を見る。
そんなニーナに微笑むように、アルフォンスはニーナに手を振った。
「うん、また明日遊ぼうね」
玄関を出ようとしたところで、ハボックはふと思い出したように足を止めタッカーの方を振り返った。
「ああタッカーさん、大佐からの伝言が、
『もうすぐ査定の日ですお忘れなく』だそうです」
「・・・・えぇ、わかっております」
そう言ったタッカーの表情は何故か暗かったがそれに気づく者はなく、今日のタッカー邸文献探しは終了した。
ハボックは二人を車に乗せると、取り合えず目的地を聞くべく声をかける。
いつもなら宿に送っていくところだが、今日は司令部には姉がいる。
会いに行きたいかもしれないし、とりあえず落ち着いた場所で休みたいかもしれない。
普段と違う選択肢に向かう場所が違うためだ。
「さて大将、一旦司令部戻るか?このまま准将の家送ってくか?」
「あー姉貴の家行こうかな、いろいろ文献とかも置いてあるって言ってたしそっちも見てみたい」
「そうだね、ボクも姉さんの研究資料とか興味あるな」
予想はしていたが返ってきた言葉に苦笑いを浮かべてしまう。
旅から旅で疲れているだろうに、まったく疲れを知らないのだろうかと・・・
「了解」
二人の姉、カノンに渡されていたメモの住所を見つつ車を走らせる。
暫くして見えてきたのは3人とも思いも寄らなかった家で、家というよりも屋敷とでも言うのだろうか
「「「・・・・・・・・」」」
国家錬金術師でしかも准将、改めて考えれば納得は出来るが予想外のサイズに3人は唖然とせざるをえなかった。
お互いに思っていることを確認するかのように口を開く。
「兄さん・・・」
「タッカーさんとこもでっけー家だと思ったんだけどさ・・・」
「なんつー家だ・・・・」