鋼の錬金術師長編夢

□笑顔
2ページ/6ページ


「まぁまぁ、いいではないか鋼の、アルフォンス。
 見目麗しい女性のミニスカートはいいものだぞ?カノンなら尚の事だと思うが。」

「「「同感っス(です)」」」

「お前らみたいなのがいるから駄目だって言ってんだよ!
 大体大佐達さっはまであんなにびびってたくせになんでもう馴染んでんだ!」

「そうか?なら元の通りエルリック准将・・・とお呼びした方が宜しいかな?」

『ロイ、私がかたっ苦しい呼称も敬語も嫌いなのは知ってるだろ?いいよ、普通の方が楽。』

「・・・と、言うことだ鋼の」

「ふん」

「それにしてもカノンからロイと呼ばれるのはえらく久しぶりだな」

『それはそうですとも、さっきまでは名前で呼ぶのも憚られるほど頭にきていましたし?』

「はは、手厳しいな、これからは気をつけるとしよう・・・」


にっこりと笑いながら吐く毒に、ロイも両手を挙げて降参の意を表す。


「でだ、今夜一緒に食事でもどうかな?カノン」

『いきなりそれか』

「駄目ですよ大佐!姉さんは行かせませんからね!」

「姉貴に近寄るんじゃねぇよ・・・」

「君達に言っているわけではないのだが?」

『んー・・・別に食事位いつでも付き合うけどさ、今日は無理、悪いね』

「なんだ、顔を出したばかりでもう何か予定があるのかい?忙しないな君も」

『予定っていうか、やっとこいつ等と逢えたからさ・・・
 仕事終わったら一緒に居たいかなってね・・・
 そういえばエド、アル、普段は何処で寝泊りしてるんだ?』

「あー、用済ませてから宿探すつもり。」

「ずっと宿住まいだよ、姉さんは?」

『私は各地の司令部近くに家を買ってある。
 宿住まいだと食事が偏るし好きじゃないからな。
 まぁ殆ど書庫みたいなもんだが、お前達もまだ宿決めてないならイーストシティにいる間は家にこい。
 各地の文献やら蔵書、私の研究書なんかも置いてあるから、宿に泊まるよりはいろいろ便利だと思うぞ?』

「マジで!?」

「いいの?姉さん・・・」

『馬鹿だな、自分の家に帰るのに何を駄目なことがある?私の家はお前達の家でもある、そうだろ?』


そう言うと柔らかく微笑みながら二人の頭を撫でていた。

久しぶりに見た昔と変わらない姉の笑みに、二人もつられて顔が綻んでいた。


『エド、鍵を渡しておくから先にお前達の用が終わりそうなら帰ってゆっくりしてるといい。
 もし本やら蔵書が見たいなら2階が全て書庫になっているから好きに見てていいぞ』

「あぁ、サンキュ。」

『あー、でも住所だけで場所分かるかな・・・』

「それなら俺に住所教えといてくださいよ、大将達の用が終わったら送っていきます。」

『悪いなハボック、任せた。』

「有り難うございますハボック少尉。」


ハボックには住所の書かれたメモを渡し、エドには常に持ち歩いていたスペアキーを渡す。

カノンは夜にゆっくり兄弟といられると楽しみにしつつ仕事に向かうことにした。


『さて、私もさっさと仕事を済ませてくるとしよう。定時には上がりたいからな!』

「またあとでね、姉さん!」

「またあとでってえぇ!なにすっ・・・!」


言い終えたと同時に、アルとエドの頬に落ちるキスに、エドは顔を赤く染め上げ抗議の声を上げた。

幼い頃よりされていて、慣れている筈の好意が途端に恥ずかしくなったようだ。

そんなエドの様子に首を傾げつつも、荷物を手に取り部屋を出て行くべく足を進めた。


『何って・・・いつものことだろ?じゃあな!』


顔だけ振り向き片手を上げ声をかけると、ガチャリとドアノブ特有の音がして戸が閉められた。

カノンが出て行った室内は微妙な空気が流れていた。

エドは顔を両手で多い俯いているし、そんなエドを部屋にいる全員が注目していた。


「・・・兄さん?なんでそんなに照れてるの・・・」

「う・・ううううううるさいアルフォンス!」

「姉さんのあれなんて今に始まったことじゃないじゃない・・・」

「久しぶりに会った姉があまりにも綺麗に様変わりしていて恥ずかしくなったか?鋼の」

「あの人の弟への依存ぶりも凄いとは思ってたけど、大将達も負けないくらいシスコンだな・・・」

「ほっとけ!」


エドワードの顔の赤みはなかなか引かなかった・・・。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ