鋼の錬金術師長編夢
□再会
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トレインジャックを取り押さえたエドとアルは、駅で会ったロイ達に連れられハボックの運転する車で東方司令部へ向かっていた。
もともとロイを毛嫌いしているエドは車の中でも弟のアルフォンスと会話をしていた。
運転席にハボック、助手席にリザ、後部座席にアルフォンス、エドワード、ロイが座っている。
そんな中ふと思い出したようにハボックが口を開いた。
「そういえば大佐、命医の錬金術師殿から手紙が来てたっスよ。」
「命医のからか・・・胃が痛むな・・・」
「あ?命医のっつったら俺達の姉貴の二つ名だよな?なんで大佐の胃が痛むんだよ。」
「鋼のが資格を取る前はそんなに厳しい印象はなかったのだがな・・・」
「俺が・・・国家資格とって軍属になったから・・・怒ってんのかな・・・」
「・・・兄さん・・・」
途端にエドの顔が曇り、兄を心配するようにアルが声をかける。
そんな二人の気を紛らわすように、ハボックは否定の言葉を投げた。
「大将、どっちかってーと軍属云々より突然連絡が取れなくなったことの方だと思うぜ?」
「そうね・・・とても心配していたから・・・」
「おかげで毎度私の所には辛辣な手紙が届くという訳だ・・・」
「しかも大佐よりも立場上ですしねぇ?」
「煩いぞハボック!」
「大佐より上!?姉貴が!?」
「中尉、今姉さんの階級って何なんですか・・・?」
「今カノンは准将になってるわよ。」
「「じゅ・・・准将!!??」」
「そ、軍で唯一1人でフラフラしている准将様だ。」
「カノンは腕が立つから護衛も必要ないだろうし、何より昇進を受ける条件がそれだったもの。」
「彼女は大総統のお気に入りだからな、剣の実力も大総統仕込みだ。
それに毎度査定やらで出されている研究資料は抜きん出ているからな、納得といえば納得なんだがね。」
驚く二人を他所に、ロイ達は淡々と会話をしていた。
エドとアルには血の繋がらない姉が一人いる。
母が他界してからというもの、2人の弟を養うためにセントラルの個人医院に看護婦として働きに出ていた。
働きに出ていても何かと二人のことを気にして、仕事の休みになってはリゼンブールへと戻ってくる。
二人が人体練成で身体を失ったときも、傍にいてやらなかった自分の所為だと、身体を戻す術を探しに真っ先に軍入りしてしまった。
医療系の錬金術が得意だった姉は、その方面から身体を戻す術はないかとシンに渡り練丹術を研究しているようだ。
そんな中でも弟達に連絡を入れるのは忘れず、年に数回手紙が来ていたのだが、
エドが国家錬金術師の試験を受ける己の覚悟のために家を焼いた事もあり、住所不定で連絡が取れなくなっていたのだ。
シンに発つ時に「弟達に何かあったらすぐ知らせて欲しい」と頼んでいた事、ロイがエドを軍に引き入れた事もあり、姉のカノン・エルリックからはロイの所に怒り全開の手紙が届いたり、
エド達が司令部にきたら自分の所に電話をよこすように言われていたのだ。