コナン&まじ快

□今だから気付く事
1ページ/8ページ



夕飯を一緒にとるようになり、毎日栞の自宅に通うようになってから気付いた事がある。

家の中の数箇所、キッチリと鍵がかかっていて、俺の前では開かれた事のない部屋・・・

必ず身近に厚いノートを持ち、時折何かを思いついたようにメモを取っている事。

そして4月中は所用があって忙しいと言いながらも、日中出かけている様子はないのに編入先の学校へはまだ登校していない事・・・

なにより家に閉じこもりっきりにもかかわらず、随分根を詰めた顔をしている上、日がたつにつれそれが悪化していっている事。

何かあったのかと聞くも"え?何にもないよ、どうして?"と、キョトンとしたした顔で返される。

折角食事の面で、毎日会う事が出来ているというのに、下手に怒らせて出入り禁止なんて食らったら堪らないから、あえて突っ込んで聞く事はしていないが気になって仕方がない。

とは言え、今まで・・・勿論もっと小さかったときでさえ、栞が怒った所なんて見た事はないわけだけど。

でもだからこそ、何で逆鱗に触れるか分からないという事もある。

だから高校生探偵としての自分なりに、"栞を観察してそれを突き止めてやる"と意気込んでいたりする。

春休みが終わり2年生としての高校生活が始まってからは、自分のお弁当作るついでだからと俺の弁当まで作ってくれるようになり、ちょっと早めに家を出て栞の家で朝食を食べ、弁当を受け取って学校へ行くというのが朝の流れになった。

そこでまた生まれる疑問。

朝チャイムを鳴らし栞が顔を出すと、目元の酷い隈に驚き問いただせば大抵徹夜明けと言う事だ。

始めのうちこそ"本読んでたらつい・・・"なんて言葉を信じていたが、それが3週間も続けば流石に怪しいわけで・・・

それに本を読んでいたという割りに、転寝をしていてついたのであろうキーボードの跡が頬にくっきりと見える事も多々ある。

本を読むのにわざわざパソコンの前に座る奴なんてそうはいないだろう。

そんな不可思議な行動だらけの栞だが、俺は自分の中でなにかが引っかかっていた。

考えてみれば幼少のときからそういうことがあったのを思い出す。

なんで昔は気にならなかったのだろうとも思うが、小学生がそんな事を一々気にするわけがない。

それこそ、探偵として活躍し始めた今だからこそ気づくこと・・・

ただ引っかかっているのはその本人ではなくて別の人物・・・

栞ではない、そう遠くない誰か・・・身近な人間で似たような様子を見た事がある気がしたからだ。

けれどどうにも、それが誰で、どういう状況でそんな行動を取っていたのかが思い出せない。

それがハッキリすれば、おのずと栞の事も分かるのではないかと思うのだがなかなか記憶から引っ張り出せないでいる。

こういうのを考え出すと止まらない俺は、今日も栞に貰った弁当に手を出しながら、ずっとその事ばかり考えていた。



「うっわ、今日もまた凄いわね、新一君のお弁当・・・」

「ほんと、新一ってば栞が帰ってきてから血色良くなったよね・・・」

「んぁ・・・?あぁ、蘭と園子か・・・」

「なによー、また何か事件の事でも考えてたんでしょ!」

「折角栞が作ってくれたお弁当、上の空で食べるくらいだもの、それ以外にないわね・・・
 って、美味しそうなキッシュ!ねぇ新一君、ちょっと頂戴よ!」

「あ、おい!」



止めるまもなくランチボックスから消え園子の口に放り込まれる。

一つ溜息をつき、食べかけていたオープンサンドを自分の口へと押し込んだ。

園子の言う通り、折角の栞の手作り弁当なのだが、気になる事が多すぎて味わう事が出来ないでいる。

そんな俺の様子に蘭も園子も首をかしげるが、"栞が気になって仕方が無い"なんて言えば、妙に勘ぐったように騒がれるのが分かってるから黙っていた。

その日の帰りだ、今日は蘭も空手部の活動は休みみたいで一緒に帰ることになった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ