コナン&まじ快
□死別と旅立ち
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「優作さん、ここからは私一人で・・・」
「仕方がないね、分かった・・・気が済んだら電話を入れるんだよ?すぐに迎えに来るからね」
「はい・・・」
優作さんの車が遠ざかるのを見送って、私はその建物の扉の前に立つ。
本当は優作さんも、私の両親の死因は疑問に思っていたようで、この家の中を調べるのには居合わせたいといっていた。
けれどそれは私が頑なに断った・・・
もし本当に自殺なのであればともかく、理由があっての他殺だと仮定したならば、この家を調べるという事は危険が伴う
万が一そうだったとすれば、近しい者に危険が降りかかる事がないとも言い切れない。
私はこれ以上・・・大事なものを失いたくはなかった・・・
他殺だとしても理由の無い物なら、刺殺や絞殺・撲殺などが上げられるだろうが、今回の両親の死因はそれらではない。
暖炉を利用した一酸化炭素中毒だ。
ただの無差別殺人なら、わざわざそんな殺し方を選ぶとは考えにくい。
事件当時、部屋や家の中を荒らされた形跡は無かった上、現場である部屋は完全に密封状態にあったらしい
暖炉で燃料を燃やすと室内は1013mhPaより若干下がる為、扉の下に開いている隙間から新しい空気が入ってくる
しかし本来その役割を果たす筈の場所は粘土で埋められ、窓の隙間までテープで塞がれている念の入り用・・・
物を燃やすと上昇気流が発生し、燃焼ガスは煙突から自動的に排出されるのだが、その煙突までも外から木板等で打ち付けられていた
扉の隙間を埋めたであろう粘土には両親の指紋も残っていたようで、警察は自殺として、大きな捜査を行う事もなかった
吉と出るか凶と出るか・・・
どれが本当の理由だったにしろ、吉・・・とは言えないけれど・・・
意を決して・・・その扉を開いた・・・
今まで何度か訪れた事のあるそこは、記憶のままにあった。
只違うのは両親が亡くなったリビング・・・
警察の検証の跡や事件当時のそのままになっている。
テープで人型に囲われた白線に、ガムテープで密封された窓。
ソレを目にした途端、思い出すかのように溢れてくる涙・・・
その涙を拭う事もせず、その場に泣き崩れた・・・
どれ位泣いたかは分からない、けれどやっと涙がひいた時には、今までずっと重かった心も少しだけ・・・色を取り戻した気がした。
つまり私は納得していなかったのだ、両親の死に・・・
なんだか朝起きれば、笑顔でおはようと言ってくれるのではと心の中で思っていたんだと思う
それが現場をちゃんと目に留めたおかげで、本当にもう居ないのだと、心に理解させることが出来たのだ・・・
落ち着いた頭で、改めて家の中を見てまわることにする
するとどうだろう・・・リビングでは見られなかったが、他の部屋では至る所に見てとれる明らかな違和感。
とはいえ、親しいものが見て初めて感じるほどのものだけれど・・・
妙な予感を覚え、ふと目の前の鏡を目にした時だ
鏡越しの自分の後ろ、部屋の天井の隅にキラリと光るものが見えた