コナン&まじ快
□帰ってきた彼女
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「ねぇ新一、栞からの手紙・・・きた?」
「・・・いや・・・」
幼馴染の栞が海外に渡ってから、そろそろ5年が過ぎようとしていた。
向こうへ渡ってしまってからは一度も帰ってきてはいないが、代わりに毎月必ず一通の手紙がお決まりになっている。
今まで一度も欠かさず、俺・蘭・園子へと届けられていた手紙がここ半年、そして今月も届かないままだった。
今までこんな事は一度だってなかった。
何かあったのではと気になって仕方がない。
最後の手紙に書かれていた"近々めいっぱい驚く事があるかも"なんて言葉が頭をよぎるが、こんな不安な気持ちでの驚きなら真っ平御免だ。
「何か・・・あったのかな、ちゃんと元気だよね、栞・・・」
「大丈夫に・・・決まってんだろ・・・」
口ではそんな強がりを言うが、心配で堪らなかった。
好きな女が、海外にいて5年も会えなくて・・・それが突然の音信不通。
これで心配にならない奴がいたらお目にかかりたいものだ。
こうやって栞の無事を願う会話を蘭とするのも、ここ最近恒例になっていた。
今日も同じような会話をしながら帰路を歩き、蘭と分かれてからも自宅までの道のりがやたら長く感じられる道のりで思考の大半を占めるのは栞だった。
生まれたときから横にいて、同じ年のはずなのにとても物知りで大人びていて、可愛らしい顔立ちをしていた栞・・・
外ではそうでもないが、家に着いた途端にがらっと様子が変わる事が不思議だった。
幼稚園では普通にみんなと同じような絵本を読んでいるのに、思えばあの頃から既に分厚いハードカバーの本を手にしていた。
何よりも、他の奴なら引いてしまってあまり乗ってくれない俺のホームズ談義に付き合ってくれる知り合い唯一のシャーロキアン。
栞と一緒にホームズやその他推理小説の話をするのが楽しくて仕方なかった。
あいつが海外に行ってしまってから、なんだか心に穴が開いたような感覚に襲われた・・・
"あぁ、俺栞のことが好きだったんだ・・・"
そう気付いたのは彼女が居なくなってからだ・・・
大きなため息をつきながら、家への最後の角を曲がったときだった。
家の前に人が佇んでいるのが見える。
壁に背を預け空を見上げている一人の女性・・・