コナン&まじ快
□降り立つ純白と不思議な彼女
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「今日の獲物もハズレだったな・・・次は何を・・・ん?」
怪盗キッドとしての仕事を終えた俺はいつもの様にハンググライダーで空を泳いでいた。
そんな中ふと目に付いたのは、この辺でも有名な30階建ての高級マンションの最上階。
住居用のスペースとウッドパネルの敷き詰められた30畳程もあるルーフバルコニー、柵には蔦状の植物が茂り、プランターにも様々な花が美しく咲き誇っている。
片隅にはライトアップされたプールがあり、ちょっとした庭園のようだ。
仕事を終えて帰る時にも何度か通ったことのあるそこが、今日に限って目に付いたのは今まで明かりが灯っている所など見たことがなかったからだ。
上空から見下ろすその場所は、町の明かりという星達に囲まれなんとも幻想的に見えた。
そんな中、リクライニングチェアを倒し夜空を仰ぐようにしてゆったりと座っている1人の女性・・・
ただ違和感を覚えるのは、風に吹かれ流れるさらさらとした黒髪以外その身体が全く動かないこと・・・
(・・・寝てんのか?)
真冬ほど寒くないとはいえ、3月の夜は流石に冷える。
まぁ見知らぬ人間が風邪をひいて寝込もうが知ったことではないが、女性となると知らぬ振りをするのも気が咎める気がする。
気がつけば考えるより早く、俺はそのバルコニーに脚をつけていた。
予想道り眠っていたようで、横に立っても何の反応もない。
規則正しい寝息が聞こえるばかりだ。
(おー・・・すげぇ美人・・・)
さらりとした長い黒髪を持つ女性、白いブラウスに濃紺のリボンが映え、ブラウンのロングスカートからのぞく細い足首。
大学生くらいだろうか、椅子の横にあるウッドテーブルには洒落たデザインのティーセットにスイーツポット、その横には分厚い本が積み上げられ、女性の手元にはリングノートと万年筆が握られたままだった。
なんとなく興味がわいてテーブルの本のラベルに目を向けてみるも、なんとも関連性のない本達に首をかしげる。
重いものから軽いものまで様々だが、中でもマジック関連の本があったのには驚いた。
(ロンドンのマップ本に拳銃やら刃物、爆弾の構造や種類、美術関連にモールス信号・・・しかもマジックのネタ本まで混ざって・・・なんだこの人・・・)
そして少々の罪悪感を感じながらも、女性の手に握られたノートを触れずに覗き込む。
きれいな文字で書き綴られた文字はまた脈絡もなく、ドイツ語・英語・日本語等、1つのページに書かれていた。
が、その内容に眉間に皺がよる・・・
(人の名前に・・・犯行現場に手口のメモとか・・・警察関係の人?
こりゃ起こさずに逃げたほうが吉か?)
なんて考えてながら彼女の顔に再度向けた時だ。
タイミング悪く、閉じられていた瞼がゆっくりと開かれた。
此れでは流石に何も言わずに立ち去るわけにもいかないわけで・・・