コナン&まじ快
□純白の来訪
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「はぁ・・・疲れた・・・」
平次からの怒涛の質問攻めにあい、ようやく落ち着いてみれば、時計の針は既に23時を指していた。
なんとか食事は済ませたが、食事の最中さえ平次からの言及は納まるところを知らず、もはや何を食べたんだかどれくらいの量を食べたのかすら曖昧だ。
人数も居ることだしと大皿料理にしてしまったせいもあるかも知れないが。
やっと落ち着き平次は入浴中、新一はいつも通り階下で読書中である。
一人でリビングのテーブルにつき、ほうっ・・・とため息ながらにお茶をすする。
季節も良い頃であるから、開け放っている窓から心地よい風が室内を巡り、ふわりとカーテンを仰ぐ。
「なんか・・・今更ながらに小腹がすいてきちゃったな・・・」
なんて、考えはするものの何かを用意しに立ち上がるのすら億劫に感じてしまい"まぁいいか・・・"と、手元の本に視線を落とした。
けれど一行すら読まぬうち、首元に回った白に圧迫感。そして苦ではない程度に背中にかかる重量感・・・
「・・・ずいぶんお疲れのご様子ですね。大丈夫ですか?栞嬢」
そう耳元に聞こえたのはもう随分と聞き慣れた声で・・・
思わず振り返れば、思った通りの純白がそこにいた。
「・・・え、キッド!?」
「はい、こんばんは栞嬢。開いた窓から姿が見えたものですから、少し悪戯心に駆られまして・・・」
そう、くすくすと"勝手に上がり込んでしまいすみません"なんて笑顔を向けられ一瞬思考を奪われてしまう。
突然のことに次の言葉が出せないでいると、そんな私の反応にキッドが首を傾げる。
「・・・栞嬢?気分を害されましたか?」
「へ・・・?いえ・・・えっと・・・」
キッドが突然家に侵入してくるくらい全然構わない。
歓迎こそすれ、キッド大ファンの私が邪険に思うなんてあるわけがない。
だがしかし、現在の我が家には・・・・
『おーい栞ー、さっき借りた奴の次巻どこだー?』
ドアを隔てた所為でくぐもって聞こえる声とともに、階下から階段を登ってくる"トントン"という軽い足音。
そして・・・
『栞ー、風呂あがったでー?』
なんて浴室からの声が聴こえるものだから、一気に意識が覚醒した。
マズイなんてもんじゃない。
東と西の探偵と怪盗キッドなんて、この最悪の巡り合わせにここ最近に無いほど焦りを覚える。
こうしている間にも、新一が階段を登ってきているわけで・・・
「・・・っ!ちょっとこっち!!!」
「うわっ!?」
私の首に回されていた白い腕を鷲掴みにし、椅子から大きな音を立てて立ち上がる。
そのまま勢いに任せてキッドを引っ張り自室へとダッシュだ。
幸い、自室はリビングに面しているため姿を見られる心配はない。
危機一髪。
階下の扉が新一の手によって開かれ、私が自室の扉を開けキッドを部屋に押し込める。
そして開かれた二つのドアが、"パタン"と音を立てて閉まるのはほぼ同時だった。