コナン&まじ快
□快斗&KID誕生日企画
4ページ/16ページ
勝利者は常に貴方
「栞さん、先約がなければ僕と一緒に帰りませんか?」
「あ、探」
ホームルームが終わり一礼をして、教師が教室を後にしたのとほぼ同時。
上からかかる声に帰宅準備をしていた手を止め顔を上げれば、そこにいたのはちょっと前に転入してきた白馬くんだった。
仲良くなったのは転校初日の休み時間。
他の女子達が彼に群がっている中、一人机についたまま悶々と本を読む私にが異質に見えたのか、白馬くんが声をかけてきてくれたのが始まりだ。
彼が探偵であると言うこと、そして私が推理小説好きであることも手伝って、つい推理トークを始めてしまったというなんとも自分らしい理由。
それからと言うもの、放課後予定のない日はこうやってお誘いを頂くというわけなのだが、決まって乱入者が現るというのも定番になっていた。
「栞さんの貴重な時間を拝借できるなら、何処か洒落たカフェでティータイムでもと・・・」
「おい白馬!栞は俺と帰るんだっつーの!」
「快斗、私まだ何も言ってないんだけど」
「君はいつも一緒に帰宅してるでしょう?偶には僕に譲ってくれてもいいと思いますが?」
「駄目に決まってんだろ、栞の横は俺が毎日予約済みですー!」
「いやいや、そんなのいつ決まったの快斗くん」
毎度毎度よく飽きもせず・・・似たような言い合いを繰り返す二人に溜息を漏らしてしまうが、探偵と怪盗・・・なんてやはり相容れないものがあるのだろう。
なんて、新一と快斗が対面した時の似たような会話を思い出して思わず吹き出してしまう。
その行動に両サイド度に立っていた二人に首を傾げられるが、"なんでもない"とだけ返し現状に意識を戻した。
さてどうしようかな、なんて考えている間にも二人の言い合いは止むことはなくて・・・
「君に栞さんの予定を決める権利はあるのかい?
栞さんと君が恋人同士というわけでもないのだから、僕が彼女を誘っても問題はないと思うけどね」
「う・・・うっせーな!そういう白馬だってそうだろ!なら俺が誘ったっていいだろーが!」
「何も僕は、君に"誘うな"なんて一言も言ってないけれどね」
「っの、減らず口!」
「それはそのまま君に返すとしようかな」
快斗と居るのも好きだし、探の海外での事件トークを聞けるのも勿論楽しい。
ただ、いつも忙しそうに事件に呼ばれる探と、頻繁に共にいる快斗。
そうなるとやはり、こういったお誘いの優先順位は傾くというもので。
「ねぇ快斗、いつも誘ってくれて嬉しいけど、今日のところは「栞!」・・・え?」
「・・・黒羽くん、僕は彼女の言葉を最後まで聞きたかったんだけどね」
「あぁ、聞けばいいと思うぜ?その前に栞に一言だけ言わせてもらうけどな」
「快斗・・・?」
楽しそうに勝気な笑みを浮かべた快斗は、私の耳元へと唇を寄せた。
片手を添えて、近くにいる探には聞こえないように囁かれる言葉を聞けば、私の意見がころっと覆るのは言うまでもなく。
"今度出す予告状が出来上がったから、栞に見せてやろうと思って持ってきたんだけど"
怪盗キッドの予告状、しかもまだ作成者以外は誰も目にしていないであろうソレ・・・
産まれた時からキッドが好きで好きで、憧れ続けた私にその誘い文句はこれ以上ない誘惑で。
今の今まで"探の事件トーク聞きたいな"、なんて思っていた私の脳内を一瞬で塗り替えた。
気がつけば快斗の手を両手で握りしめ、満面の笑みと期待の眼差しで言葉を紡いだ。
「一緒に帰ろう快斗!」
「さっすが俺の栞ちゃん!俺を選んでくれると思った!」
「・・・何を言ったのかは知りませんが、また完敗ですか・・・」
探が呆れたような諦めたような溜息を漏らしていたけれど、今の私はそれどころではなくて。
早く見たいと言わんばかりに、快斗と手を握ったまま駆け足で教室を後にした。
(快斗、家行こう家!チョコアイスも作ってあるんだから早く帰ろう!)
(栞、わーったから落ち着けよ!急がなくても消えやしねぇから!)
(いやいや、もう早く目にしたくて、そして解きたくて仕方ないのですよ快斗くん!!)
(ほんと栞ってキッド好きだな・・・いやまぁ嬉しいけど複雑・・・)
(え?キッドも快斗も好きだよ?もちろん暗号も!)
( "暗号と同レベルってどうなの・・・好きって言われたのに素直に喜べない・・・っ!!!")
Special Thanks 美桜様