コナン&まじ快
□快斗&KID誕生日企画
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君の中の彼の存在
「でよ、見た限りセンサー型のセキュリティシステムだと思うんだけど・・・」
「それと重量感知システムも組み込まれてるわね、ケース自体にも何かありそうよ?」
「そうだな、あとは・・・」
俺は今・・・非常にイライラしている。
現在、キッドとしての仕事現場で、もう何分か後に控えた予告時間を待つ為変装して待機中なのだが・・・
名探偵に無理やり連れてこられたのであろう栞までその場にいた。
それだけならまだいい、それだけなら・・・
名探偵ときたら栞に抱っこされ、会話の内容が他に聞こえないよう至近距離でひそひそと話し、栞も名探偵に顔を寄せ、共に今日の目的である宝石を見つめていた。
推理物が好きな同じ穴の狢。栞も至極楽しそうに会話を続けている。
見た目小学生とはいっても名探偵の中身は高校生。そんな奴に自分の彼女が密着しているのだから妬くなと言う方が難しい。
幼馴染という事も相まって、アイコンタクトですら意思疎通を図れるその距離に嫉妬する。
名探偵が困っていれば迷う事無く差し出されるその柔らかな手、そしてそれを躊躇せずに取る名探偵・・・
知らない人から見ればまるで本当の姉弟の様に移る程仲睦まじい姿・・・
本来ならその間に割り込んで二人を離してやるのだが、今はキッドとしての仕事中。下手に動く事も出来ず、その姿をただ眺めている事しか出来なくて、奥歯を噛み締め仕事時刻となった。
「出たぞー!怪盗キッドだ!」
「追え!奴は南方面だ!」
中森警部達がダミーを追っている間に、警官を装った俺はグライダーで逃げるため屋上へと足を運んだ。
しかしこれまたいつも通り・・・俺を追いかけて屋上に姿を表したのは名探偵と・・・愛しい栞・・・
「これはこれは名探偵、お早いお付きで。しかしこんな無粋な場所に美しいお嬢さんをお連れとは・・・」
そう言って名探偵の横に立つ栞へと視線を向ければ、名探偵からは見えないからだろう。
栞は困ったように苦笑して肩を竦めた。
「たまには現場を見せてやろうと思って連れてきただけだ。こいつにちょっかい出すんじゃねーよ」
言葉と同時、その小さい身体でも栞には触れさせないと言わんばかりに自分の後ろに追いやる名探偵に、しごく苛立った。
それは彼氏である俺の役目で、栞の横に立つのも、栞を守るのも名探偵ではなく俺なのに。
イライラとしてトランプ銃を名探偵へと放ちしばしの攻防。僅かな隙を突いて夜空へと身を投げた。
本当ならこのまま・・・栞を攫ってしまう事も出来たが、それをしてしまっては栞が共犯だと思われかねない。
決して彼女をキッドの仕事に巻き込むことはしたくなくて、現場から足を遠ざけた・・・
仕事を終えた足で向かったのは栞のマンション、彼女の部屋のバルコニー。
足をつけたはいいがその部屋の中に栞の存在を感じる事が出来ないのは当然で・・・
大きな溜息をつきながら、バルコニーに置いてあるプールサイドのリクライニングチェアーへと腰を下ろした。
寝転がるように身体を投げ出し空を見上げる。
現場での名探偵と栞の様子を思い出しながら、気がつけば意識は夢の中だった・・