コナン&まじ快
□快斗&KID誕生日企画
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初めての嫉妬
「・・・どうしたの?いつになく満身創痍だけれど・・・」
「いえ・・・それが・・・少々情熱的な女性に追いかけられまして・・・」
夜風にあたりながら、自宅のバルコニーで本を読んでいた。
何かが足をつける音に視線を上げれば、愛しい恋人の姿・・・
思いがけずその姿が見れたのはいいのだが、いつも凛とした雰囲気を漂わせる彼はそこになく・・・
なんとも至極疲れたと言わんばかりに私の近くの椅子へと腰掛けた。
「・・・取り敢えず何か飲んで落ち着いたら?何をご所望?」
「有難うございます栞嬢・・・では何か冷たいものを頂けますか?」
「分かったわ、ちょっと待っていてね」
私が席を立つと、そのまま机に突っ伏す彼に、本当に何があったのかと私まで困惑してしまう。
あの白い怪盗をここまで疲労困憊させた何か・・・それに興味が沸かない訳もなく、急いで飲み物を用意して彼の元へと戻った。
ただ、話を聞いてみれば結局のところ・・・
どうにもここ最近、予告当日に現場に足を運べば必ず待ち構えている女性がいて、仕事を終えた後執拗に追い回されているという事だ。
それがどうにもただの"キッドファン"であったという事に苦笑する。
まぁ、その度合が常軌を逸しているという面では、"そんな事"では済まない感じは否めないけれど・・・
「はじめは何処の探偵かと思い焦ってしまったのですが、対面する度に熱烈な言葉をいろいろいただきましてね・・・」
「・・・それはつまり、出された貴方の予告状を読み解いているって事よね。
ファンであるから・・・という理由だけで成し遂げているなら相当なものね・・・」
「ある意味、名探偵より厄介で困っておりますよ」
そういうキッドの顔は紛れも無い困惑顔。
その相手に好意を持っていないのは一目瞭然なのだが、どうにも面白くない。
いつもなら彼と話していられればそれだけで楽しくて、出てくる話題に耳を傾けるのだが、何故か今日はそれが出来ないでいた。
大好きなキッド、愛しい貴方。
その姿を前にして、その甘い声を聞いているというのに胸に沸き上がってくるモヤモヤとした感情。
それが何なのか分からなくて、余計にイライラとしてしまう。
「それで?今日はその彼女に抱きつかれでもしたのかしら?」
「・・・な、え?」
何で分かったのだというように、慌てたような表情。
全く、職業柄観察眼だけはあるものだから、気づかなくていいことにまで気づいてしまう。
その所為で自分で自分の中のイライラをより大きくしてしまうのだから、なんとも始末に悪い。
「貴方の服・・・純白なんですもの。ファンデーションが少し擦れただけでも結構目立つのよ?」
「・・・栞嬢には敵いませんね、ご名答ですよ」
その純白の胸元に残るライトベージュ。
それを指させば困ったように笑うキッドが、心底嫌がっているようには見えなくて・・・
まるで"自分のものだ"と主張するようなそのベージュに腹がたち、キッドが悪いわけではないのに、思わず刺とげしい言葉を浴びせてしまった。