コナン&まじ快

□快斗&KID誕生日企画
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拾った子猫



「栞、ちょっとこいつ見ててくれる?ミルクかなんかとってくっから」

「ん、分かった」



デートの帰り、快斗の家でお茶でもと誘われ談笑しながら道を歩いていた。

ただ細い路地に差し掛かった時、快斗の足が止まり抱え上げたのは白い子猫。

快斗の足元にはダンボールがあって、中には薄黒くなった布がしかれていた。

その子猫は大分やつれていて、捨てられてからそこそこの日にちが立っているようだ・・・

そんなのを目の前にして放おっておけなかっただろう快斗の優しさに、思わず自分の頬が緩んでしまう。

そのまま快斗の家へと連れてきて、シャワーで泥を洗い流し今に至るというわけだ。

部屋を出ていった快斗から視線を子猫にもどし、いまだ濡れているその身体を丁寧に拭いてやる。



「お前よかったね、快斗が見つけてくれて」

「ニャー」



まるで言葉を分かっているのかのように返ってきた鳴き声に、思わずくすりと笑ってしまう。

けれど少し元気が無いように思えて、やっぱりお腹空いてるのかな、なんて考えていれば平皿にミルクを注いだものを持って快斗が部屋へと戻ってきた。

その途端だ。

今の今まで元気がなさそうに大人しく身体を拭かれていた子猫は、私の手の中を勢い良くすり抜けた。



「ニャー、ニャニャ、ニャー!」

「おわ、なんだオメー思ったより元気だな!わーった、今ミルクやるから落ち着けよ!」

「ニャー!」



快斗の足に飛びつき、まるで待ってましたと言わんばかりに擦り寄る子猫。

初めこそ"よっぽどお腹が空いてたんだな"なんて思ったけれど、それはどうやら違ったようで・・・

用意されたミルクを平らげた後は、快斗の膝の上で頭を撫でながらゴロゴロと喉を鳴らしている。

それだけならまだ良いのだが・・・



「栞お茶のおかわりいるか?」

「あ、うん欲しいかも」

「ならちょっと・・・って・・・」

「・・・・」



まるで、"行かせない"と言わんばかりに快斗の服に爪を立ててぶら下がる。

無理に離そうとすれば、文字に濁点の着いたような鳴き声を上げて暴れ始めた。

私が手を伸ばせば、より爪に力がこもり引き離すのを諦めるが、快斗がその身体を持ち上げようとつかめば、爪が引っかかることなく離される。

けれど私の方へと渡そうとすれば、その袖口に爪が立てられるという悪循環。

快斗も半ば呆れ気味だったが、仕方ないといった様子で頭の上に子猫を載せた。

私へのお茶のおかわりを淹れて来てくれたけれど、私はその頭の上の猫が気になって気になって仕方がない。

胸を渦巻くこの感情がなんなのか・・・なんて説明せずとも明白だが、たかが猫に嫉妬するなんて、どれだけ私は末期なんだろうか。

無意識に不機嫌な顔をしていたようで、それを見ていた快斗がクスクスと笑っていた。



「何、栞。猫にヤキモチ妬いてくれるとか嬉しいんだけど」

「・・・そんなんじゃありません」

「栞」

「・・・え?」



照れくさくてそっぽを向いていた顔を快斗へと戻す。

するとウィンク一つの後、カウントが始まり鳴らされた指。

一瞬その音に気を取られた隙に、頭にかかる違和感と重み・・・

なにかと思い自分の頭に手をやれば、自分の髪ではない何かに手が触れた。
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