コナン&まじ快
□追い詰められた名探偵
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「・・・っ、クソッ!」
俺は雪の中を必死に走っていた。
江戸川コナンとしての俺には両親なんて居る筈はないのに、突如探偵事務所へと訪ねてきた"江戸川コナン"の親だと名乗る見知らぬ人物・・・
子供の俺より大人の言う事を信じるのは当然で、"親ではない"と否定しても信じてもらう事は出来ず、あっさりと引き渡されてしまった。
されるがまま、乗せられた車の中で突きつけられた現実。
俺が"工藤新一"であると言い放ったそいつは、俺に銃を突きつけてきた。
咄嗟に俺は信号待ちで停めていた車のアクセルに足を伸ばし、混乱に乗じて逃げた・・・
これからどうすればいいかと悩みながら博士の家へと来たが、いくら待てども留守にしている博士が帰ってくる様子はなくなくて・・・
手もかじかみ身体の熱が奪われていく中、ふと思い出した鍵の事。
数日前に栞に貰った彼女の家の鍵だ。
ずっと肌身離さず持っていたそれは、今も俺の手の中にあるし、栞なら何よりも今の俺の状況を知っているから、これからの事も相談できる。
これ以上この寒空に身体をさらし続ける事にも限界を感じていた俺は、栞のマンションへと踵を返した。
走って走って走って、見慣れたマンションの入り口をインターホンを鳴らす事無く手元の鍵で開けた。
念の為人目につかないよう物影に隠れながら、エレベーターに乗り込み最上階目指す。
やっと着いたその部屋の鍵を回せば、見慣れた綺麗な玄関が目に入る。そのはずだった・・・
「なん・・・だ、これっ・・・!!」
予想に反し視界に飛び込んできたのは、倒れた傘立てに乱雑に散らかった靴。
それから入り口を踏み荒らしたような土の跡・・・
頭の中が真っ白になる・・・靴を脱ぐのも忘れ部屋の中に上がりその名を叫ぶ。
「栞・・・栞!おい!いねぇのか栞!!」
背中に嫌な汗が流れ胸の中に押し寄せる大きな不安・・・
玄関に近い部屋のドアを片っ端から開け、栞の姿を探した。
けれど求める姿は一向に確認する事は出来ず、階下へのドアに手を掛けた時だ。
自分の真後ろに人の気配・・・それを感じ振り向こうとするが一瞬遅く・・・
回された手に口をふさがれ、俺の意識は遠のいていった・・・
(・・・・栞・・・っ・・・)