コナン&まじ快

□The first date
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日曜、朝9:30 ・・・

快斗は自室のクローゼット前で佇んでいた。

今日は11時から駅前で人と待ち合わせの予定があるのだが、なかなか着替えを済ますことができないでいた。

そろそろ出かけなければいけない時間なのではあるが、来ていく服が一向に決まらないらしい。

どちらかと言えば女性がしそうな行動なのであるが、待ち合わせの相手が思い人ともなればやはり性別は関係ないのかもしれない。

あーでもないこーでもないと、いつのまにやら足元に出来た服の山は嵩むばかりだ。



「あー・・・栞どんな格好で来っかな・・・キッドで会った時みたいに大人っぽい感じか・・・
 それとも相手が俺だしもっと高校生っぽい感じで・・・・あーっもう、わっかんねー!!」



終始この調子で、服を合わせては抛り合わせては抛り・・・

その全ての原因は待ち合わせの相手である栞だ。

栞とはクラスメイトでキッドとしての秘密の友人、そして思い人・・・

故に、その彼女の隣に立つのであれば、周りから見てもせめて同等に見られたいと言うわけだ。

しかし時間と言うものは刻々と過ぎるもので、あっという間に待ち合わせ時間30分前。

仕方なく手元につかんでいた服を慌てて着込み、家を飛び出した。



「やっべ、マジで遅刻する!」



家の鍵をかけるのもそこそこに、慣れた道を最短距離で駆けた。

必死に走ってなんとか遅刻せずにはすんだが、待ち合わせの相手は見つからない・・・

代わりに何やら男性数人に取り囲まれている一人の女性。

顔は良く見えないが、手元の本に視線を落とし、周りの男達の言葉は聞き流しているようだ。

所詮はナンパと言う奴だろうが、いかんせん全く相手にされていない様子に、男供の中の一人がその彼女の腕をつかみ上げる。

そんな様子に黙っていられる快斗ではなく、気がつけば当然のように声をかけていた。



「それ、俺の連れなんだけど?」

「あぁ?なんだお前。ってか、だから何?」

「安心しろよ俺等が貰ってやっから、お子ちゃまは帰ってくださーい」



笑い声を上げながら、男達が口々に快斗へ向けて口汚く罵る。

快斗もいちいちそんな事を気にしはしないが、とりあえず彼女をこの場から連れ出してやらねばと口を開きかけた時だ。

今まで男物の声しか耳に届かなかった中、不機嫌そうに発せられた綺麗な声・・・



「・・・申し訳無いのだけど・・・」



パタンと本の閉じられた音と同時、聞こえてきた声はその彼女のもので・・・

本から上げられた顔に快斗は驚くしかなかった。

そして何より、彼女の声色がとても冷たく、表情は笑っているのに周囲の男達を見るその目は笑っていなくて・・・

顔立ちが整っているだけに、その冷笑には迫力があった。

男達もそれに気圧され、たじろぐしかない。



「私の大切な友人を侮辱するような輩とつるむ気は無いの、御免なさいね?いこ、快斗」

「え・・あ、栞!」



男に握られていた手を振り払った手で快斗の腕を掴かみ、引っ張るようにしてその場を去る。

それは紛れも無く待ち合わせていた本人だったのだが、学校で会う彼女とも、キッドとして会う彼女とも違っていて驚いた。

大人っぽくもあるが年相応にも見え、ちゃんと自分と会うことを前提に選んでくれたんだと快斗は嬉しくなる。

皮製のロングブーツにふわりとしたミニスカート、無地のインナーに総レースのロングボレロがよく生えている。

いつも下ろされている髪はアップに纏まっており、普段は隠されている耳元があらわになる。

只気になったのはそこに開いたピアスホール・・・

開いているのなら折角なのだから何かしらつけそうなものなのに、何故か閉じ防止用の透明なシリコンピアスが着けられているだけだった。



「ごめんね快斗、本に集中しちゃってて気付くの遅れちゃった」

「いや、それは別にいいけどよ・・・いつから絡まれてたんだよ、俺がもっと早くくりゃ良かったな・・・」

「手を捕まれて初めて気付いたのよ?"あぁ、煩いと思ったら私に話しかけてたのか"って・・・」

「おいおい危ねーな、何かあったらどーすんだよ」

「平気だよ、だって・・・ちゃんと快斗が助けてくれたしね」

「っ、栞・・・」



そういって微笑む栞に快斗が顔を染めるのは当然で。

それに何より繋がれたままの手に、嬉しさと気恥ずかしいのと相まって快斗の熱は上がるばかりだ。
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