コナン&まじ快
□新一&コナンBD企画
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「・・・え?栞・・・?」
「新一!?どうしたのこんな所で・・・」
「いや、オメーこそ・・・」
まさかこんな場所で・・・
俺の知っている栞は、とても博識で頭も良く、この場に用があるだなんて思いもしない。
だから会うなんて微塵にも頭をよぎらず大いに驚いた。
俺の方は、今日行われる春期の特別模試を受けに来たわけで、それを彼女に伝えれば栞も同じだったようだ。
栞は帰国したばかりで、新しい学校へと編入する前に、日本の学校の授業の進み具合を見るのに丁度いいからといった所だった。
なるほど理由を聞いてみれば、何事にも準備のいい栞らしい理由だ・・・
「でも新一はどうしてわざわざ?新一の方こそ塾なんて程遠く思うけど・・・?」
「俺はあれだ、事件とかで呼ばれて学校休む事たまにあってよ。
ちょっと最近多かったせいか、担任に"知り合いの塾で前学年の復習的な模試試験あるから受けて来い!"って言われたんだよ。
補習用の大量プリント免除とか言う理由でな」
「なるほどね、でもそれって、先生がそれ用のプリント作るのが面倒だっただけなんじゃ・・・」
「ハハ、オメーもそう思う?けどまぁ、量こなすよりは数時間ですむしな」
「その分、この春でた推理小説を読む時間が増えるというわけですな?」
「そーいう事!」
栞と二人、室内へと足を進めながら会話をする。
たどり着いた場所のドアノブを回し、開かれた扉から中を覗けば、既に教室にいた人達が目に入る。
参考書を広げている者、携帯片手に何か打ち込んでいる者、知り合いとだべっている者それぞれだ。
どうやら席は自由なようで、俺は空いていた窓際の一番奥の席に着いた。
その隣へと迷わず腰を下ろした栞に、内心嬉しくなりながら鞄から筆記用具を取り出していると、ふと何かに気付いたように栞が声を上げる。
「・・・ねぇ新一、何か今日ここで会えて良かったかも・・・」
「ヘ?何だよ急に・・・」
「だってさ、学校違うじゃない?こんな事でもないと、新一と机を並べて授業を受ける・・・なんて事も出来なかったんだもん。
だから、ちょっと嬉しくて・・・さ」
「そう・・・だな・・・」
なんて・・・本当に嬉しそうに、柔らかくはにかみながら言うもんだから、俺の心臓が"トクン"と一つ、大きく脈打つのが聞こえた。
好意を持っている相手からそんな風に言われて嬉しくない訳がない。
赤くなった顔を隠すように頬杖をつく。
もっと気の利いた台詞でも言えばいいものを、なんと言っていいか分からず曖昧に頷くだけで終わったしまった。
ったく・・・情けねぇー・・・
軽い自己嫌悪に陥りながらも模試は始まり、配られたプリントの空欄をどんどん埋めていく。
隣からも、手を止める事無くひたすら書き綴られるペンシルの走る音が聞こえてくる。
まったく迷う様子のないその音に"流石栞"なんて思いつつ、競うように頭をフル回転させた。
どうやら全て埋め終われば、部屋の外に出て終了を待っていても良いようで、栞より先に出てやる・・・なんて思いながら最後の欄に手をかける。
全ての欄を埋め、ミスがないか最終チェックをし、プリントを机の上に裏返しておき立ち上がる。
それと同時だった。
隣からも椅子を引く音が聞こえ横を見れば、栞と目が合う。どうやら引き分けのようだ・・・
まぁ、べつに競争なんてしてた訳じゃねーけど・・・
二人して無言のまま扉へと向かい、部屋を出る間際に一礼して扉を閉める。
ようやく一息・・・と、廊下に置かれているソファーに腰掛ければ、俺の横に座った栞が腕に絡まってきた。
「ねぇねぇ新一、帰りにさ、何処か寄ってかない?」
「あぁ、別にいいぜ?どっか行きたいとこでもあんのか?」
「行きたい場所があるわけじゃないんだけど、折角新一も一緒なんだもん。真っ直ぐ帰るの勿体無いじゃない?」
「そーだな・・・じゃあ本屋でもいくか?」
「・・・新一らしいといえばらしいけど・・・じゃあ本屋に行って、買った本片手にカフェでお茶!なんてどう?」
「いいなそれ、んじゃ決まりだな!」
なんて約束に嬉しくなりながら後半の模試を受ける。
ただ嬉しい反面、やっぱり学校が一緒だったら・・・毎日でも学校帰りに同じ事が出来たのに、なんて残念になったのは仕方ねぇ・・・だろ?
special thanks きらり様