コナン&まじ快

□傷だらけの告白
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「・・・ってぇ・・・」


痛いほどに打ち付ける雨・・・

いつ雪に変わるかと思わせる低い気温・・・

体温はどんどん奪われ、流した血の所為で更に拍車がかかる・・・

いつもの仕事、普段と変わらない逃走用のハンググライダー。

唯一違ったのは逃走後の着地点に待ち構えていた組織の者・・・

警察との追いかけっこを終えた俺は、その不意の攻撃を避ける事が出来なかった。

宝石は死守したが肩に傷を負い、兎に角安全な場所へと帰るべく足を進める。

けれど様々な要素が重なり、思うように足を運ぶ事が出来ない・・・

一歩進む度、一つ呼吸をする度、肩に走る激痛に顔を歪める。

ついには身体を支える事さえ厳しくなり、入った路地の壁に寄りかかる。

ずるずるとその場に座り込み、なんとか意識だけでも保とうとするがそれさえ叶わず・・・

このまま目を閉じればもう開く事は無いんだろうか・・・なんて弱気な事を考えた時、頭をよぎったのは栞の事・・・



「・・・っ、はぁ・・・っ、栞・・・」



気取らない美人で頭も良く、大人びた思考を持つくせに子供っぽいところも持ち合わせていて・・・

怪盗なんてやってる俺を誰よりも分かってくれて、それを知る以前と変わりなく接してくれる栞・・・

愛しい愛しい俺の女神・・・

どうせ捕まるのなら君に捕まりたいと何度思った事か・・・

目には目を歯には歯を、痛みには痛みを。

傷口をこれでもかとギリギリと握り締め、痛みで痛みを相殺するも、混濁する意識をとどめる事は難しかった・・・



「栞・・・・栞・・・・・っ!」



かすれ行く意識の中、脳裏に浮かぶのは君の事ばかり・・・

キッドと対峙する時の凛とした笑顔・・・そして高校生としての無邪気な笑顔・・・

栞の笑い声や俺を呼ぶ澄んだ声・・・とめどなく浮かび上がってくる。

俺を魅了するその存在・・・

願わくばもう一度・・・俺に向けて最上の笑顔を・・・

そんな事を考えながら目を閉じる寸前・・・

混濁する意識が闇に染まる瞬間・・・

泣きそうな声で俺を呼ぶ栞の声を聞いた気がした・・・


 
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