その他・短編夢

□テスト範囲
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2時間程して、やっとテストの範囲全てを見直す事が出来た。
外はもう夕日が沈みかけている。
室内にいた生徒達も、皆帰ってしまったらしく、図書室の中には、私と加賀だけが残っていた。


「ふぅ、やっと終わった〜♪
 加賀サンキュ!これで明日のテスト何とかなりそうだよ!」
「ったりめーだ、誰が教えたと思ってんだ?」
「はいはい、加賀様々!感謝してます♪」
「へっ、調子のいい奴・・・」
「・・・・・あっ・・」
「あぁ?どした?」
「・・・・夕日・・・きれー・・・」

ふと外を見た私は、思わず息を飲んだ。
少しずつ窓に歩み寄り、手すりに手をかけ外を眺めている。
それにつづき、椅子に座っていた加賀が、私の後ろに立ち、
私を包み込むようにして手すりにもたれる。
私はドキリとした。
加賀の顔に夕日があたり、陰影をはっきりと見せている。
そして、日の光が加賀の顔を赤くそめ、なんともいえない優美さをかもし出していた。
いつもと違う加賀、そしてこの空間・・・

「・・・##NAME1##」
「・・・ん?・・・」
「いや、なんでもねー・・・」

加賀の唇が触れた。
いつもの激しいキスとは違い、優しいキス・・・
今まで味わったことの無い加賀の唇だった。
優しいくて切ないような暖かいキス・・・
気が付けば、私は何時の間にか加賀の首に手をまわしていた。
これも、初めての事・・・
この空間がそうさせるのだろうか・・・
明らかにいつもと違う私と加賀。
何度も唇を重ねる。
いつもの加賀なら、絶対余計な行動に出るのだが、今日はそれもなかった。
そして、やっと加賀の唇が静かに離れる。
私はそのまま加賀に抱きついてしまった。
加賀も、私を抱き返してくれる。

「##NAME1##・・・夏休み入ったら、映画でもいくか・・・?」
「・・・ん・・・行く・・・」
「・・・今日の報酬は・・・それでいいわ。」
「どうしたの?加賀らしくないね・・・」
「本当は、もっと別の事考えてたんだけどよー・・・
 なんか、そんな気分じゃなくなっちまった。」

加賀は改めて、私を力強く抱きしめた。
結局、そのまま加賀と一緒に、日が完全に沈むまで、外を眺めていた。

「加賀、遅くまでありがと、気を付けて帰ってね。」
「折角教えてやったんだ、明日赤点とったらしょーちしねーぞ!」
「あはは、うん、頑張るよ。」
「じゃあな、##NAME1##。」
「・・・・加賀」
「あぁ?・・・っ」

アパートの入り口まで送ってくれた加賀に、私は初めて自分からキスをした。
触れるだけのキス。
流石に少し恥ずかしかったけど、なぜか、今日は素直に行動できた。

「・・・加賀、おやすみ」
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