その他・短編夢

□テスト範囲
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現在、期末テストの真っ最中!
私は今日のテスト終了後、図書室に来ていた。
夏休みはもうすぐ、あと半月も無い。
テストで赤点をとった教科は、その分だけ余分に課題が出されてしまう。
折角の夏休み、出来ればそれは避けたい・・・
が、大丈夫だろうか・・・
私は数学が大の苦手である。
他の教科は、全て80点以上取れる自身はある。
しかし、数学だけはどうしても・・・
赤点は45点以下。
しかも今回のテスト範囲は、私の一番苦手とする証明等が含まれている。
そこで、何とか少しでも理解しようと、学校の図書室に来ていた。
30分位たった頃、図書室のドアが開いた。
室内には、他にも何人かテスト勉強に励んでいる者がいる。
入ってきた人物は、真っ直ぐにこっちに向かって歩いてきた。

「##NAME1##、かえらねぇのか?」
「ん〜・・・まだやってく〜。」

加賀だった。教室に鞄を置きっぱなしで、私の姿が無い為探してくれたらしい。
加賀は私のノートを見ると、とたんに呆れ顔になった。

「・・・・##NAME1##、お前本っっっ当に数学駄目なのな・・・」
「う・・・そんな事今更言わないでよ、気が重くなるから・・・」
「それ、答え全部間違ってっぞ・・・」
「・・・うそ、マジ?」
「マジで!これは代入方式がちげーし、こっちは証明の手順が違う、
 ってな感じで他のも全部間違い。」

私の今までの苦労は打ち砕かれた。
同時に、やる気がかなり削がれてしまったが、このままにしておく訳にもいかず、
再び、教科書とにらめっこを始めた。

「##NAME1##、教えてやろーか・・・?」

加賀の一言に、私は嬉しさと同時に不安がよぎった。
加賀がただで教えてくれるのだろうか・・・
また何か良からぬ条件を付けてくるのでは・・・
しかし、そうも言っていられる余裕は私には無く・・・・・

「お、お願い・・・します・・・」
「よし、んじゃあとっとと片付けて、報酬は後で頂くとすっかな!」
「え゛・・・」
「ほれやるぞ、まずこれな。」
「あ、う・・・・はい。」

報酬がどうのという事はおいといて、加賀の説明は分かりやすかった。
今まで分からなかった問題がすらすら解けていく、
数学を大の苦手とする私が、

(なんだ・・・数学ってこんなに簡単だったんだ・・・)

なんて思えるほどに。
加賀ってやっぱり頭が良いんだなぁ〜、と改めて実感する。
そして、真面目に教えてくれる加賀の端正な横顔を堪能しつつ、声を間近で聞き、
幸せに浸っていた事なんか、悔しいから言ってやらない。
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