鋼の錬金術師長編夢
□真実
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「・・・ロス少尉、姉貴他に何か言ってたか・・・?」
「他に・・・ですか?あぁ、カノンさんが戻るまでお二人を外に出さないで欲しいと仰ってました。」
「なんの用とかは・・・聞いてないですか?」
「えぇ特には、ヤボ用・・・としか伺っておりません、ただ軍服の方が都合がどうとか・・・」
「・・・・・アル」
「うん、兄さん」
二人は呼び合い確認の意思を表すと、急にカノンの室内の壁を調べ始めた。
その急な行動に驚き意図が見えず、ブロッシュは声をかける。
「な・・・何してらっしゃるんですか・・・?」
「姉貴はな、人に見られたくないもんって必ず錬金術で壁に埋め込んで隠すんだよ・・・」
「見られたくないもの・・・ですか?」
「あぁ、確信じゃねぇけど・・・もしかしたら今回も多分なんかあるんじゃねぇかなっと・・・」
言いながらも壁から目を離さず、錬金術を使用した後がないかと目を皿のようにして壁に触れた手を滑らせる。
そう間を開けることなく、アルフォンスの方から声がした。
「あ・・・兄さんあったよ錬成痕・・・」
「やっぱりか・・・」
その跡を確認したエドワードがおもむろに両手を合わせ壁に手をつくと壁がくぼみ、そこから出てきたのは折りたたまれた半紙と一冊の資料、そしていくつかのメモだった。
エドワードはそれを手に取り、とりあえず半紙の方を部屋の真ん中の机の上に広げてみた。
広げられたそれを全員が覗き込む。
そのたたまれていた半紙は地図で、マップ上にはいくつかの赤丸。
その中でひとつ、丸をつけられた上で大きく×を上書きされた場所があった。
「これ・・・なんの建物だ?」
その場所を指差し、エドワードは問う。
ロスは添えられていた資料を広げながらそれに答えた。
「以前第五研究所とよばれていた建物ですが、現在は使用されていないただの廃屋です。
崩壊の危険性があるので立ち入り禁止になっていたはずですが・・・」
「となりは刑務所か・・・なるほどな・・・」
「えっと・・・?」
「賢者の石を作るために生きた人間が材料として必要ってことは材料調達の場がいるって事だ。
たしか死刑囚ってのは処刑後も遺族に死体は返されないだろ?
表向きには刑務所内の絞首台で死んだ事にしておいて、生きたままこっそり研究所に移動させる
そこで賢者の石の実験に使われる・・・そうすると刑務所に一番近い施設があやしいって事だ」
カノンの残したシルシや資料から、おそらくカノンがはじき出したであろう答えを予測し答える。
しかしその告げられた答えにロスは顔をゆがめて青ざめていく、内容が内容であるから仕方ない。