鋼の錬金術師長編夢
□真実
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「・・・あれ?右手義手だったんですか?」
「ああ・・・えーと東部の内乱の時にちょっとね・・・・・」
「そそ、それで元の身体に戻るのに賢者の石が必要でして」
指摘されあわてて誤魔化す二人に、やさり残念そうにブロッシュも言う。
「そうですか・・・それがあんな事になってしまって残念ですね・・・」
「真実は時として残酷なものよ」
アームストロングの言葉にハッとしたのはエドワードで、記憶の中を探りマルコーとの駅での会話を思い出す・・・
「真実・・・?」
「どうしたの兄さん」
急に雰囲気を変えて佇んだまま呟くエドワードに、アルフォンスはどうしたのかと声をかける。
エドワードはかけられた声に振り向く事もなく、必死に何かを考えつつ言葉を紡いだ。
「マルコーさんの言葉覚えてるか?」
「え?」
「ほら、駅で言ってただろ・・・"真実の奥の更なる真実"・・・」
エドワードの台詞にその場の全員が息を呑んだ・・・
「そうか・・・まだ何かあるんだ・・・何か・・・」
言うと同時に一人部屋を飛び出したエドワードは、姉の部屋である隣の部屋へと足を急がせた。
あまりに唐突だったため誰もそれをとめる事は出来ず、急いで後を追う。
エドワードがカノンの部屋の扉を開けると同時に呼ぶが、そこに目的の人物の姿は無かった。
「姉貴っ!!って・・・・あれ?」
まさか不在だとは思わずあっけにとられて室内を見渡すエドワードに、後を追ってきた四人の中、ブロッシュが告げた。
「カノンさんなら、先程出かけましたよ?」
「姉さんが出かけた・・・?何処に・・・?」
「それは分かりませんが、軍服を着てらしたので多分司令部じゃないですか?」
「・・・姉貴が・・・軍服を着た・・・・?」
その台詞に固まったのはエドワードとアルフォンス。
再会してから今まで、カノンが軍服を着ている姿なんて見たことはない。
東方司令部にいて執務をこなす時間でさえ、軍服を着ていた様子は無かった。
そのカノンが中央とはいえ司令部に顔を出すというだけで、わざわざ軍服を着るなんて思えなかったのだ。