コナン&まじ快

□快斗&KID誕生日企画
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「キッド・・・?」



コナン・・・新一と別れ自宅へと帰ってきた私は、"キッドは無事家に着いたかな・・・"なんて考えながらバルコニーに通じる窓を開け空を見上げた。

綺麗な月夜に星々は瞬き、心地いい風邪が肌を撫でる。

空を見上げていた視線を下へと戻せば、視界の端に移る白に首を傾げるのは当然で。

静かに近づきその存在を確認する。リクライニングチェアーの上に横たわるそれは、紛れもなく・・・



「やっぱりキッド・・・仕事の後に来るなんて・・・珍しい・・・」



キッドは万が一でも私に疑いがかからぬよう、家に来るのは予告や下見の時だけだった。

仕事の後は警察とのおっかけっこが定番であるし、撒いたとはいっても、人気のある怪盗キッドの姿を目に出来ないかと、空を見上げている一般人も居ないとは限らない。

それ故に、報道なんかで予告日が大々的に晒された場合の仕事は、家による事は無かったのだ。

今回は特に、お馴染みの鈴木財閥からの挑戦状で新聞の一面を飾った一件。

だからまさかキッドが来ているとは思わず、事件後も新一と話し込んでいて帰ってくるのが遅くなってしまった。

こんな事なら早く帰ってくれば良かったと溜息一つ・・・


長時間夜風にさらされ冷たくなったその頬に手を添えれば、ゆっくりと開いた瞼から覗く二つの青い宝石に自分が写りこむのが見えた。



「御免なさいねキッド、今日貴方が来るなんて思わなかったから随分遅くなっ・・・っ!?」



彼が私の存在を認識したであろうその瞬間。

私の身体はその純白の中に閉じ込められた。ただ驚いたのはその突然の行動もそうだが、これほど力強く抱きしめられた事などないものだから、その圧迫感と衝撃に言葉を最後まで紡ぐ事は出来なかった。

未だ一言も発さないキッドは、ただ強く強く私を抱きしめるだけで・・・

何かあったのだろうかと不安になる。

白いスーツの胸元を握り締め、口を開こうとした・・・その時・・・



「栞嬢・・・先程は随分・・・見せ付けてくださいましたね」

「・・・キッド?」

「貴方は私のものだ。違いますか・・・?」



そう言って苦しい位に私の体を抱きしめる。

その言葉の意味と行動の真意を読み取ることは簡単で・・・思わず、笑ってしまった。



「ふふ、もしかして妬いてくれたのかしら」

「ったりめーだろ!名探偵とべたべたしっぱなしだったじゃねぇか!
 栞にとってあいつが大事な幼馴染なのは分かってっけど、必要以上にくっついて欲しくねぇの!」



キッドの顔を見上げれば、至極不機嫌そうなふくれっ面。

けどなんだかそれが可愛かったのと、妬いてくれたという事実が嬉しくて・・・

手近にあった真紅のネクタイをクイッと引っ張れば近づく端正な顔。

少し背伸びをしてその唇へと己のそれを重ねた。

一瞬の静寂の後、リップ音とともに離された唇でやんわりと微笑みキッドを見つめれば、突然のキスに照れてくれたのか、ほんのりと頬を染めたキッドがいた。



「ごめんなさいねキッド。でも、私の好きなのは貴方で、これからもそのつもりよ?
 恋愛感情として私が"愛しい"と思うのはキッド・・・そして快斗だけ。
 新一は確かに大事だけれど、どちらかと言えば家族愛みたいな物。それでは駄目かしら・・・?」

「・・・すみません栞嬢、分かってはいるのですが・・・どうしても感情が抑えきれなくて・・・」

「いいのよ、それだけ私を好きでいてくれると言うことでしょう?むしろ嬉しいわキッド。
 さ、中にはいって?暖かくなったとはいえ、夜風は冷たいわ」

「栞嬢が・・・温めて下さいますか?」



先ほどの仕返しと言わんばかりに、いたずらっぽい笑みを浮かべながら、私の髪を一房すくいその唇を押し当てる。

流石に私もなんだか面映くて顔に熱が集まるが、言い負けるのも癪というもので・・・

僅かばかり赤くなった顔で微笑み、こう返すのだ。



(・・・お望みとあらば、存分に)



Special Thanks 晶様
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