コナン&まじ快
□新一&コナンBD企画
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「「おーっ!!」」
「よし、いけっ!」
「そこそこ、あーっおしいっ!!」
日曜の昼下がり、温かい日差しが窓から差し込み、そよそよと吹き込んでくる風が心地いい。
そんな心地いい気候の中、俺は栞の家で二人、TVでサッカー観戦をしていた。
大きな液晶のワイドテレビの前に、足にカーブのついたロッキングチェアーが陣取り、それに座る栞の膝の上で大好きなサッカー観戦・・・なんて至上の贅沢を満喫している。
ちょっと前なら、栞の膝に座るなんて照れくさくて仕方なかったけれど、思いが通じ合ってからは、こうやって子供の姿で今しか出来ない甘え方なんてものを楽しむようになった。
本当は逆がいい、なんてのは当然だけれど、こういう形でなら二人きりの時でも人がいるときでも、違和感の無い姿に見えるから仕方ない事と思うようにした。
そこさえ我慢してしまえば、大好きな栞にいつでも引っ付いていられるんだから悪くねーだろ?
二人して拳を握り締めながら、展開される玉の応酬に声を上げる。
応援しているチームのゴールが決まれば、歓喜の声と共に後ろから抱きしめられ、2重の嬉しさが俺を襲う。
「ねぇ新一、今度は球場で観戦したいねー!」
「そうだなー、チケット取れたら行きてーよな!」
「新一と外でデートもしたいし、次の試合のチケット頑張って取っちゃおうかな・・・」
「結構な激戦だからなーチケットとんのも・・・俺も頑張ってみっけどオメーも無理すんなよ?」
「うん、分かった!あ、CMのうちにコーヒーでも淹れてくるね」
「おー、サンキュ」
一瞬体が浮き椅子に降ろされ、キッチンへと向かう栞の背を見ながら携帯を取り出した。
カチカチとボタンを打ちながらチケットの販売開始日を検索し、試合の日はなんか予定あっただろうか、なんてまだ行けると決まったわけでもないのに記憶と照らし合わせながら、頭の中は既に栞とのサッカー観戦デートでいっぱいだ。
しばらくしてコーヒーとクッキーの乗ったプレートを持った栞が戻ってきて、サイドテーブルに置かれたそれらを摘みながら、再び栞の膝の上でTVにかじりつく。
試合に熱中してふと気がつけば、俺の頭に擦り寄るように栞の頬があたる感触・・・
なんだかくすぐったくて、栞のほうを振り向けば、閉じられた瞳に静かな息遣い。
試合が勝利に終わったというのに反応が無かったのはそういう訳か・・・
「そーいや・・・徹夜明けだって言ってたっけ・・・」
「んぅ・・・しん・・・いちぃ・・・」
「おわっ!?」
寝ぼけているのか、ぎゅっと力を込めて抱きしめられる。
流石にちょっと照れくさくて顔が熱くなるのを感じるが、それより夢の中でも俺と一緒に居るんだろうか・・・なんてちょっと嬉しくなる。
元の身体であれば、気持ち良さそうに眠るこのお姫様をベッドまで運んでやれるのにと、同時に少し悲しくなった。
抱きしめられている所為で、栞にかけるタオルケットを取りに行く事すら出来ない。
あまり起こしたくはないが、このまま熟睡して風邪をひいてしまっても可哀想だ。
煩くない程度に声をかけながらその身体を揺すれば、まどろんだ意識のままゆっくりと開かれた瞳と目が合う。
「栞、風邪ひいちまうから寝るならベッドで寝たほうがいいぜ?」
「んー・・・新一が近くにいるから安心してうとうとしちゃった・・・」
「はは、オメーが起きるまでちゃんといっから。疲れてんだろ?しばらく寝て来いよ」
「折角久しぶりに新一と一緒なのになぁ・・・あ、じゃあ一緒に寝ようよ。お昼寝・・・しよ?」
なんて、寝ぼけながら甘えるように言われれば断れる訳・・・ねーだろ・・・?
けど、何だかんだでそんな栞を見ていたら俺の中の眠気も顔を出していた。
"わーった"と一つ頷き、栞に抱っこされた状態で、同じリビングにある広く大きいソファーへと移動する。
ロックを外せばベッドとしても機能するそれに身体を横たえ、常にそこに畳んで置いてあるタオルケットを広げると、近づいてくる栞の顔。
小さなリップ音と共に口付けられた額・・・
「おやすみ新一・・・」
一際嬉しそうに微笑み、途端に安堵したように寝息を立て始める栞は俺の身体をぎゅっと抱き込み擦り寄ってくる。
流石に赤面せずにもいられなくて、自分の心臓がトクトクと大きな音を立てているのを感じていた。
抱きしめられている為あまり大きくは動けない、自分の顔の近くにある栞の頬へとそっと口付け、俺もその暖かな腕の中で一眠りする事にする。
「おやすみ、栞・・・」
一緒にいられる時間が限られている今・・・
少しでもこの温かさとその存在を感じていられるように、俺も栞の身体へと腕を回しぎゅっと力を込める。
ずっとこのままいられたらいいのに・・・なんて思っちまうとか、俺らしく・・・ねーかな・・・?
special thanks あやか様