アルファルド

□8話目
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―8、悲しみの顔―





どうしてあんな約束をしてしまったのだろうか。


断われば良かったのに……いつも通り。





星見会なんて行ったところで、私には……














生徒1「ほら、俺たちと遊ぼうぜ?」

「?」



漆がそんなことを考えながら憂鬱な気分に浸っていると、どこからともなく下劣な男の声が聞こえた。

視線を移せば……








月「やめて!」


「夜久、さん…?」





そう、この学園には漆を含め、女子は2人…

そんなこともあってか、ごく稀にあのような生徒が女子目当てで出没するのだ。


前に琥太郎からそんなことを聞いたな…などと考えながら、漆は辺りを見回す。


「……どうせ幼馴染たちが来るんだから、ほっといても問題な」

錫「月子を離せ!」




月「錫也!!」


「……ほら」


漆の考え通り、幼馴染の1人が現れた。珍しく3人ではなく1人なところが少々気になるところだが、助けがきたのには変わりない。

漆は小さくため息をつくと、近くにあったベンチに座る。


丁度、錫也たちの姿は見えない位置だ。






錫「そんなことをしてただで済むと思ってるのか!」

生徒2「へん!いつもお前たち幼馴染ばっかり夜久さんを独占してるんだから、少しくらいいいだろ〜」











「(………だから人間は嫌なんだ)」







生徒3「おっと!それ以上近づくと夜久さんが怪我するぜ?」

生徒1「ま、それでもいいならこっちに来るんだな!」




錫「くっ…」

月「錫也…!1人じゃ危ないよ!」













「……」


漆が座るベンチからは2人の姿が見えないとしても…声が聞こえる。どうやら錫也も月子もやばい状況になっているらしい。

「っ……(どうしてあの2人は来ない……っ…)」





しばらく声だけを聞いていた漆が一向に終わらないリンチに痺れを切らし、その場へ行けば………












錫「ぅ……ぐ…」


月「錫也!!!!大丈夫!?錫也!」





錫「あ……あ、ぁ、大丈……夫…」









ボロボロになり、数箇所から血を流す錫也の姿が目に映った。

それでも月子は奪い返したらしく、月子は泣きながら必死に錫也に呼びかける。








生徒2「ふんッ…じゃあ、そろそろ終わりにするか…」




グワッ


錫也に1人の生徒が最後だと言い、殴りかかった。




その瞬間……………

























?「イ タ イ …… ヨ」





























「っ、やめて!!」


漆の頭に、一瞬だけ…過去の情景が駆け抜けた。

その瞬間、漆は躊躇いもなく、錫也の前に飛び出ていた。





錫・月『!!!』


そして…








ドカッ

生徒1「ぐわっ!!!」



ボコッ

生徒2「ぐぅっはぁ!!!」







生徒を殴り、蹴った。














「お前が……最後…」



生徒3「(女のくせに強ぇ!)!っ、た、頼む!!見逃し」

「嫌」



ゴスッ

生徒3「くっ……うぇ…」
















それから暫くの静寂…













月「蘭姫……さん…」



錫「!!、だ、だいじょう」



















「………から」

錫「…え」


























「私が…守るから!!!!」



錫・月『!?』



そう言った漆の表情は……凄く、凄く…………

























「もう、こういうの…やめて」



悲しそうに、歪んでいた。



(……っは…っっ…(今私何して……!))
(!!、 漆、さん……)
(月子ーー!!錫也ーー!!)
(見つけた!)
(哉太…羊、君…)
(おいお前ら大丈夫か……って!錫也お前その怪我!)
(あれ、蘭姫…?…あ、もしかして2人を助けてくれたの!?)
(……っ……大嫌いっっ)
(((!!)))
(!、漆さん!)





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