アルファルド

□5話目
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―5、お昼の約束―





あるお昼休み、漆は笑顔で錫也の前に現れた。

隣には、こちらも笑顔の月子の姿が…




月「えへへ、お昼誘っちゃった!」


錫「(つ、月子ーーーー!!)」





錫也は表情を崩さないように心の中で月子の向かって叫んでいる。


哉「よ、よぉ…昼一緒に食うのは初めてだな。お前はいつも人に囲まれて大変そうだし」





「…でもみんな優しくて、いいクラスだね」

羊「男しかいないけどね」




とりあえず、5人は座り、お昼を食べ始めた。

今日は錫也の作ったお弁当らしく、月子たちは重箱に入っているものを美味しそうに食べる。





「夜久さんの幼馴染って…3人いるのは知ってたけど……君もそうだったんだ」

錫「あ、ああ…」

月「?、どうして?」



「いや、東月君とはまだちゃんと話したことなかったから…これを機会に宜しくね?」


そういって薄く笑った漆。月子はそんな漆を見て、嬉しそうに笑った。哉太はまた照れているようで、顔をそっぽに向けている。そして羊は、そんな哉太を面白そうに見ているのだった。


しかし、みんなの前だから顔は笑っている漆だが…


















君がいるって分かってたなら来なかったよ……?

















錫「…(心の中では絶対そう思ってるだろうな…)」


なんとなく漆の心が読めた錫也だった。

まぁ実際本当にそうなのだが…







羊「あれ、蘭姫のお弁当可愛い…しかもとっても美味しそう!」

月「本当だ!凄い!!」


哉「自分で作ってるのか?」



漆はみんなにそう聞かれ、さっきの笑顔のまま、そう、と呟いた。

そして自分のお弁当を口に運ぶ。





錫「そう、なんだ(…お弁当、自分で作ってるのか……今度、一緒に作ってみたいな)」


錫也は、ボーっとしながら、そんなことを考えている。

すると月子が自分のお皿に乗っているお弁当のおかずを漆に差し出した。





「えっと…何?」

月「このお弁当ね!全部錫也が作ったんだよ!」


錫「!、月子っ」








「…へぇ……そうなんだ。凄いね」

錫「!、///」



錫也はまさかそんな返答が帰ってくるとは思わなかったから、漆にそう言われて、少しだけ、顔を赤くして下を向いた。



羊「今度一緒に作ってみれば?僕、2人が作った料理食べてみたいな!」



「……………そう、だね」







漆は小さくそう言った。例えこの場を取り繕うための嘘だったとしても、漆がそう言ってくれたことが嬉しかった錫也は、顔を上げると…












錫「今度!一緒に作ろうな!」


そう、笑顔で言った。



(楽しみだね!錫也と蘭姫さんの料理!)
(哉太にはあげないから!)
(羊!なんでお前がそんなこと言うんだよ)
(…(…本当に作ってくれるのか?))
(…(さぁ))

――――――――――――

あとがき

月子たちのおかげでちょっとだけ漆さんに近づいた錫也(笑)

でもまだ漆さんは遠いです……(´-ω-`)





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