アルファルド

□3話目
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―3、彼女の心―





今はお昼、錫也たちは4人でお昼を食べていた。




羊「錫也…お箸逆だよ?」


錫「え!?、あ…本当だっ」




錫也はあの転校生、蘭姫漆からこの前の場所に来るようにと言われて、かなりテンパっていた。


やっぱりあの転校生はあのときの彼女だったのだ。





錫「(話…話ってなんだ?見当もつかないけど…)」












!!、

もしかして…




バッ


3人『!?』






錫「(クラスメイトとしてこれからは仲良くしようとか!?………………………嫌、無いな…)」


哉「だ…大丈夫か?」





いきなり立ったかと思うと急に沈むように座った錫也を見て、哉太たちは焦ったように心配する。


錫「そうだ!!(指輪返さなきゃ…!)」





月「…浮いたり沈んだり……大変だね、錫也…」



***



時間は放課後。


錫也は約束通り、漆に言われた場所まで行った。するとそこには、すでに彼女が待っていた。









錫「!、遅れてごめん!漆さ」

「…」





錫「ん……(…っ凄い不機嫌…)」



「…あのさ、名前で呼ぶのやめてくれる?」

錫「え」





開口一番、漆は物凄く不機嫌にそう言った。


「友達でもなんでもないし、なる気もないし…」

錫「でも」





「大体私と君は初対面でなんの繋がりも無いってことにしてほしいから今朝みたいな態度も困るんだよね…二度とああいうことはしないでくれると助かるんだけど」


錫也が口を挟む隙も与えないほどのマシンガントーク。そして終いには…












「分かってくれるよね?」

キラッと効果音が聞こえてきそうなほど、完璧と言えるであろう綺麗な笑顔でそう言い放った。







錫「……ハハッ…」


錫也は力無く笑う。





錫「嫌われてるな…俺…」

「………話は、それだけ。お互いに関わらないってことで宜しく」





錫「あ…待って漆さ……蘭姫さんっ」

錫也は去っていこうとする漆を呼び止めて、ポケットから指輪を出し、漆に差し出した。








錫「これ…!返した方がいいかなって…」



「………いらない。あげる…というか、捨てていいよ。……………いらないから、返されても」









錫「え…?…?……でも」

「…」




錫也が躊躇っていると、漆が錫也の手から指輪を取り…

錫「!、良かった…やっぱり……」











ヒュン…


錫「っ!」




投げ捨てた。






錫也は瞬間的にそのときの漆の顔を見た。

その顔は…………






















錫「俺、拾ってくる!」


「!!!」



そう言って、錫也は屋上のフェンスによじ登り、飛び降りる。


そして…














落ちた。

「!…っ馬鹿!!……す…っ」









ストン








飛び降りて落ちた錫也は、飛び出たコンクリートの上に着地して、そこに落ちた指輪を拾った。


漆は無言で錫也を見た。








錫「駄目だろ…そんな顔するなら、捨てたら駄目だ。…………捨てるなら、俺がもらう」


「!」




錫「もらうよ、だって俺はいらなくないから…っ、捨てたくないから…………捨てないから……っ」








そう言って、錫也は指輪を持って、走ってその場を後にした。



その場に残ったのは、顔に手を当て、悲痛な顔をした漆だった。










「…………馬鹿っ…」



***



月「錫也ー!!!」





錫「…月子、2人も……」

哉「お前どこ行ってたんだよ!」

羊「探しちゃったよ」






錫也は、3人の顔を見ると、自然と笑顔になった。









錫「ごめんっちょっと用があってさ、………探してくれて……ありがとう」






















分からない、



漆さんは、何を考えているんだろう…






そんなに嫌い、なのかな…

















でも、“嫌い”は…もう何をしたって“嫌い”なんだろう………



だったら……




















気なんか遣わないからな!


(明日も…頑張ろう!)
(錫也ー!置いてくぞー)
(あれ?羊君またクッキー食べてるの?)
(Oui!錫也のクッキーは美味しいからね)





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