PEACE

□不安な日
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午前2時



研究に没頭していた青山は
コーヒーでも飲もうと、食堂へ足を運んだ





深夜であることから
食堂内の電気は消されていて誰も居ない






…はずだった





薄暗い室内の奥で何かが動いた気がして
コーヒーメイカーを使用しようとしていた青山は手を止め
そちらを凝視した






「誰かいるのか?」



声をかけるとその何かが
びくっと震えた





「…青山さん?」





寝巻姿の離匡が一番奥の席の窓際で
ちょこんと膝をかかえ座っていた




「こんな時間にこんな場所で
何をしている」





電気もつけず、ましてや寝巻姿でそこに居た離匡に
怪訝な様子で問う





「…ごめんなさい……」




青山が怒っていると思った離匡は
脅えたように謝罪の言葉をもらした






「怒っているのではない
そんな格好で居たら風邪を引くだろう
何をしていたんだ」




そう言って
表情を和らげた青山が離匡の隣に座る




また少しびくっと震えた離匡が
遠慮がちに青山を見上げる


何かを伝えようとした口は
何も伝えることなく
きゅっと結ばれる





暗闇にも目が慣れてきて
月の光のせいもあってか
離匡の顔がはっきりと見えてきた




彼女は重い物でも抱えているかのように辛い表情で


ただでさえ小さい体を
より一層小さくさせていた







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