LOVE

□迷い子
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彼女はよく迷子になる




方向音痴というより
どこか抜けているのだろう













青山と離匡は資料の整理のため
資料室へ向かっていた



「荷物は重くないか?」



そう尋ねているというのに返事がかえってこない



それ以前に
後ろにいるはずの離匡の姿が見えない




消えた彼女を探しに先ほど通った曲がり角まで戻ってみると
おろおろした様子でそこに立ち尽くしていた





「君はそこで何をしているんだ?」



「その…
青山さんを見失ってしまって…」



「ただ後について来るだけで、どうしてそうなるんだ」



呆れたという溜息を吐くと
離匡は申し訳なさそうにうなだれた




「本当に、いつもいつもすみません…」






まったくだ



今のようなことは
日常茶飯事である



確かにJガーディアンズ内は
広くて複雑な構造だ



しかし
もう道くらい覚えても良い頃だろう




街へ出動しても
帰還するときは必ずといってもいいほど
行方不明になる



自分がどこにいるかわからないと通信が入り
何度かGPSで探した





「君には大きな鈴でも付けていないといけないのか」


「…ごめんなさい…」



「もういい、次ははぐれずについて来るんだ」




そう言って
少し速度を落とし歩く



ちらりと後を見やると
一生懸命について来ている



小さな子供のようだ



いや
飼い犬のようにも見える









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