学園バサラ

□6月
1ページ/12ページ



(今日も雨かあ。やっぱり梅雨の時期になったら、傘は手放せないや)

私は傘を差して授業が終わった後、近くにあるスーパーへと足を運んでいた。冷蔵庫に食材が切れかかっていたので、勉強の息抜きにでもと思って、私買い物をすることにした。

楽しいことが終わった後には必ず嫌なことが待っている…。今、私は高校入学初めての考査の試験週間中で勉強尽くしって訳でもないけど。

店内に入り、野菜と魚の切り身とかを適当にカゴの中に突っ込んで、最後にお菓子コーナーに向かった。甘いものは、勉強には必需品だし。

「ポテチとチョコどっちがいいかな…

「Hey,葉乃じゃねえか!」

あ、政宗先輩!!」

陳列棚の前に立ってどれにしようと悩んでいると、私と同じように買い物カゴを持った先輩が立っていた。先輩のカゴの中には、結構どっさりと食材が入っていた。男子はいっぱい食べるからなんだろうな。


「こんなとこで買い物なんかやってて大丈夫なのかよ。考査週間中に。」

あれから会計を済ませた私たちは、雨が降っている外に出た。

「んー、大丈夫かどうかは分かりませんが…。でもまあ、気晴らしに買い物しに来たって感じですね。」

左手に持っている黄色のマイエコバックをぶらぶらさせながら、曖昧に答えた。

「もし、10位以内に入らなかったら一般クラスに行くことになんだから、ちゃんとやっとけよ。
…そうだ葉乃、今週の土日俺んち来い。成もいることだし、徹夜で勉強しねえか??」

「それいいですね!分からないことあったら、質問できるし。
じゃ、遠慮なくお邪魔させてもらいます。」

「飯は俺が作るぜ。そしたら、勉強の方に集中できるだろ?」

「ほんとにありがとうございます!」

先輩のナイスアイディアに感謝しつつ、土曜から楽しみだなと思いながら、途中で先輩と別れ寮に戻った。
これで、10位以内に入れなかったら、先輩に申し訳ないので帰ってから再び勉強に集中した。


そして、数日後の約束の日。

私は今、寮の前で政宗先輩を待っている。今日は、梅雨の時期には珍しく晴れている。手元の鞄の中には、勉強道具と着替えくらい。そんなに荷物は持って来るなって言われたし。
そんなことを思っていると成ちゃんが手をぶんぶん振ってやって来た。

「葉乃ちゃーん、やっほおおお!」

声で挨拶するなあと思いながら、私も手を振ってやっほー、と挨拶する。
家にまでは、成ちゃんと話しながら歩いて行く。

「梵兄が迎えに行くって行ったけど、まだ食器の片付けしてたから、俺が来たんだ。
葉乃ちゃん、昼ご飯しっかり食べてきた?」

「しっかり食べたら眠たくなるから、ほどほどにしといたよ。寝ちゃったら迷惑かけそうだしねー。」

「迷惑とか思わなくていいのに(俺、葉乃ちゃんの寝顔好きだし)。
でもさ、こうやってお泊りするの懐かしいよね?幼稚園の時はしょっちゅうしてたよね。」

学校の敷地外に出て、2人並んで歩いて目的地を目指す。

「確かに、そうだね。
1回成ちゃんがおねしょして泣いたことあったよね〜。」

私がくすくす笑って言うと、それ俺の中で恥ずかしいことだから言わないで!、と恥ずかしそうに言った。
到着するまでは、昔の話を爆笑しながらずっとしていた。

着いた家はマンションだった。オートロックで、家賃が高そうなとこ。しかも、何か新築っぽい感じがするし。
エレベーターに乗り最上階、と言っても6階のボタンを押してフロアに到着し、部屋をいくつか通り過ぎていく。

(あれ…)

伊達という表札が2部屋続けてあった。政宗先輩と成ちゃんって一緒に暮らしてるんじゃなかったけ??
そのことを聞くと、俺ら別々に住んでるよ?隣だけど、と返ってきた。一緒に住んでるってのは私の勘違いだったみたい。

チャイムを押さず、葉乃ちゃん連れてきたよーと成ちゃんがドアを開けて中に入っていった。その後に続いて、私もお邪魔する。
玄関に出てきた政宗先輩は、青地に竹を食べているパンダがプリントされているエプロンを着て出迎えてくれた。

(先輩があのエプロン着てる姿が可愛い!あとで、こっそり盗撮しとかないと…)

心の中で密かに計画しながら、奥に進んでいった。
やっぱり寮とは違ってかなり広い。部屋は2つあるし、リビングもある。ちなみに、1つは先輩の部屋だけど、もう1つは時々っていうか高い頻度で泊まりに来る成ちゃんの部屋化してるらしい。
その大きさに感動していると、政宗先輩が

「みんなで一緒に勉強するほうが楽しいから、リビングでやろうぜ。こたつ用の机もあることだし。」


そんな感じで私の1泊2日のお勉強会が始まった。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ