短編

□住人達
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  壊れた人形
あはは。あはは、はは。
あの人が死んでから、あたしは人形になった。
あはは。あはは、はは。
あたしは、あの人が好きだった。ずっと一緒に居られるって、信じ込んでいた。
あの人は、すごく格好良くて、人気者で、話していて楽しくて。
初めて会ったときから、外面は少し意地悪だったけど、でも大事なところでは優しくしてくれて―
本当に、大好きだった。
なのに、死んだ。

あはは。あはは、はは。

今日、これから告白しようって、思ってた。
好きですって言ったら、きっとにっこり笑ってくれるだろうって思ってた。
だけど、ずっと楽しみで待っていたあたしを見つけて、あの人は手を振ってくれて、
銀色(シルバー)のベンツに、轢かれて、飛ばされて。
悲しむ間もなく、あの人は、死んだ。
即死だった。
あの人はー格好良くて強くて少し意地悪だけど本当は優しくて人気者で趣味が読書とスポーツでミステリーが好きだったからよくあたしと話が合って好きな色は青で数学が得意で凄く頭が良くて一人称は「僕」で笑顔が素敵で背が私よりほんの少し高くて髪の毛と瞳は少し茶色がかった黒で旋毛が前髪に近い左側という変な所にあって・・・話していて楽しかったあの人は―
何処へ、行ってしまったんだろう?
とっても好きだったのに。

あたしは、いつまでもあの人を探し続ける。

あはは。あはは、はは。
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