短編

□いつか。
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「銀時、一緒に日本の夜明けを見に行かんか。」

「るせーよ帰れヅラ!」

「ヅラじゃない、桂だ!」



ほぼ毎日、コイツは万事屋にやってきてはこんなことを言っていた。



攘夷戦争。

もう昔のことだ。

今時このことを語る人は多くはないだろう。

俺達から大切な人を奪ったそれは、その頃の俺達にとっちゃ生き甲斐だった。

すでに勝算は決まっていた。

戦争する意味などなかった。

だが俺達は…。

俺達にとったら…。

それぞれの思いを胸に刻みながら人を斬っていた。

吉田松陽。

俺達の師である人。

この人を奪った世界が気に食わなくて戦っていた。

その人がいない今、
俺達ができることは一体なんだろう?

そう思った俺は、攘夷戦争が終わると同時に行方を眩ませた。



そして出会った。

また、護らなければいけない存在ができた。

そして俺の護らなければいけない存在はどんどんと増えていた。



「ヅラァ…。」

「なんだ?俺と一緒に夜明けを見る気になったか?」

「俺は…また背負っちまったな…。」

「…?」

「いや、なんでもねぇ…」



いつの間にか、また背負っていた。

護るべきものを。


もし、誰か一人だけしか助けられないと言われても、
俺は全てを護りたい。

いや、
護ってみせる。

先生、俺は…
間違ってますか?





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