短編

□モテない理由
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俺は何でモテないんだろう。

まあ俺だって大方見当はついてるよ。いつもローと一緒に連んでたら俺なんてどう考えたって霞むよな。だってローは男の俺から見たってかっこいいしイケメンだし。
わかる、わかるけども!何で俺はモテないのペンギン!?


読んでいた本から顔を上げたペンギンは、面倒臭いと言わんばかりの表情だ。そして俺を見る目も冷たい。

君さ、ちょっとくらいモテるからってその態度は無くない?確かに無理矢理ペンギンのクラスに押しかけて読書を邪魔したけど、何もそんなに怒ることないじゃんか。

はぁー…、と零れる溜息を隠しもしないなら俺も聞かなかったことにするよクソ。


ペンギンは本に栞を挟むと嫌味なくらい長い足を組み直した。



「で?お前がモテない理由だっけ??」
「、…ん」
「そうだな。顔は悪くはないし馬鹿だけど根は良いヤツだと思うが…」
「!…ぺ、ペンギン!!」


だ、だよな?!何か傷ついたけど俺悪くないよな!!

じゃあ何が問題だって…。




「それだけだろ」
「…………へ?」
「だからそれだけだろ」
「良いヤツ止まりってことか!?」

「それか恋愛対象ですらない」
「さらに酷くね!!?」



なんでかな?視界が潤んできたぞ…。いや、これは涙じゃないぞ決して。あれだ、あれ、えーと鼻水だ!ずぴ。




「目から鼻水なんて出るか」
「普通に心ん中読んでんじゃねェよ」
「まあそのうち良いことある」
「哀れんだ目で見んなこの野郎!畜生女子達め、何で俺じゃ駄目なんだああああー!!!」
「……クス、」



おい誰だ!頭を抱え机に突っ伏した俺の悲痛なる叫びを嘲笑いやがったのは!!

ガバッと勢いよく顔を上げるとペンギンの隣の席に座って本を読んでいた女が肩を小さく震わせながら笑っていた。



「そう笑ってやるな」
「…堪えきれなくて、つい」
「気持ちはわかるが一応コイツなりに精一杯生きてるんだ」
「そうよね、失礼だったわ。ごめんなさいペンギン君」



親しげに話すペンギンとその女。誰かわからないけどさ、謝罪する相手違くね?普通そこ謝るの俺にじゃね?

そうそう、これとても面白かったわ!流石ペンギン君センス良いのね、だって。もうすでにこの二人の中では俺に対する興味は失われ、今話題の中心は彼女がペンギンから借りたと思われる何とも小難しい本についてだ。


いいよ別に。嬉しくないけど空気的扱い慣れてるし?どうせこの子はペンギンに気があるんだろ、よろしくしてろリア充め!クソ。

そういえば私先生に呼ばれてたんだ、だって。ふん、ざまあみろ畜生!!




「ペンギン君、またオススメの本があったら借りてもいいかしら?」
「勿論」
「ありがとう。あ、シャチ君」


何だよその如何にもお前もいたんだっけ?みたいな呼び方。
ムス、としたままそいつに目をやると少し驚いたような素振りを見せてまた直ぐに笑顔に変わった。




「私は好きよ?君の馬鹿げたところも友達止まりで終わっちゃうくらい良いヤツだってところも」

「………え、」






モテない理由




名前も知らないし今日初めて話したのに、何故かそいつは俺のことを知っていて。

―俺を好きだと言った…。




「ああ勿論…、」

「恋愛対象としてね?」



クスってまた嘲るみたいに笑うのに、何故か胸がドキドキした。




過去拍手小説ですが、シャチ短編だったためこっちに持って来ました。


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