短編
□先輩と俺
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「卒業おめでとう、name先輩」
「ペン君ありがとう。
はあ…、もう少しみんなと部活やりたかったな」
「俺もだ。一年早く生まれていれば、先輩と卒業出来たのにな」
毎日が楽しかった…。
部長のクセにサボり部員なローを俺と先輩とシャチで追いかけ回したりしたし、ずっと好きだった先輩と付き合ってデートもキスもその先もした。
「どうしてもあのトラブルメーカーが気にかかるんだよね、後は頼んだよペン君」
「トラファルガーは先輩しか手なずけられない」
こうやって笑い合えるのも、一緒にいられるのも今日まで、
今日で最後なんだ…。
nameはペンギンに背を向け距離をとった。
「ペン君、別れよう」
頭が真っ白になった。
「新手のドッキリか?」
「…本気」
今までの女なら、好きなんて感情がなかったから未練もなくアッサリと別れられた。
だけど違うんだ。
初めて好きになった女だから、あんただけは離したくない…。
「何でだよ!」
ペンギンはnameの肩を掴み振り向かせると、目尻に涙を溜めていた姿が目に入った。
「お父さんの仕事の都合で、外国に行くの…」
「でも戻って来るだろう?」
「いつ帰れるかもわからないって…。
だから、無理して遠恋なんかするより近くにいる人と付き合ったほうが、私なんかに気を使わなくていいでしょ?」
「さよなら」
ペンギンの胸を強く押し、その場を離れた。
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