短編
□電話越しの愛してる
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私の大好きな彼は世界的にも有名な大富豪の護衛で私も一応そこの使用人。
仕事場が一緒だとは言えども彼は主人とお嬢様の命を守ってる身であるから、私とは比較出来ないほど忙しいし、仕事とプライベートは別だとお互いに気持ちを切り替えてる。
ちなみに彼は住み込みだから休みが合わないと月に二、三回しか会えない。
寂しくないなんて強気なことは言えない、だから寂しいとも言わない。
彼に迷惑を掛けたくないから。
−〜〜♪
誰だろう?こんな時間に…。
携帯のディスプレイには"ペル"と表示された愛しの彼の名前。
急いで携帯を手に取り通話ボタンを押した。
『もしもし、私だ』
「ペル//あのどうかしたの?」
『いや大したことではないんだが…』
「?」
『声が聞きたくなった』
「…ペルらしくないね//」
『甘えるのは私らしくないか?』
「ふへ…?」
『フフ、阿呆けた声を出してどうした』
「も、もう!ペルが可笑しなこと言うからでしょう」
クスクスと電話越しに聞こえる笑い声に、胸がほかほかと温かくなる。
−声、聞きたいと思って−
私も、私もだよ。
ペルの声が聞きたかったんだ。
付き合い始めの頃みたいに心がくすぐったくなった。
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