novel long1
□ラ イ ン
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サクラは火影屋敷の屋上で空に向かって大きく伸びをした。ここ数日のデスクワークですっかり凝り固まってしまった体がゆっくりと心地好く解れていく。綱手がため込んだ書類の分類整理が主な仕事なのだが、その量は多くあと数日はかかりそうだった。
少しだけ軽くなった体を預けるように、屋上の手すりに手をついて空を見上げる。今日もよく晴れた空の青が目に眩しい。
その時ふいに視線の端に鮮やかな黄色が入った。確認するように視線を向けると、少し離れた屋根の上にはナルトの姿。軽やかに屋根の上を飛びながらこちらに向かって来ているようだった。
―― ドキン
その姿を捉えた瞬間サクラの鼓動が大きく跳ねて、心臓がギュンと音を立てて一瞬縮こまる。その瞬間息が止まった。
次の瞬間には、慣れた足取りで屋根から屋根へと移動しながらこちらに向かうナルトの姿に、サクラの心臓はドキドキと煩く音を立て始める。
―― 最近の私はおかしい……
ナルトを見るとなぜか早まる鼓動、苦しくなる胸。
一体いつからこうなったんだろうか
いつからなんてハッキリした事もきっかけも分からない。
気が付けばいつもナルトを見ている。ナルトのことを考えている。
だんだんと近付いて来るナルトにサクラの鼓動はどんどん早まって行く。おまけに顔まで火照ってくるから、サクラは焦った。今はまだ表情までは確認できない自分とナルトとの距離に少しだけホッとながら、ドキドキと早まる鼓動と熱を持った頬を落ち着かせる為にサクラは大きく深呼吸をして、ナルトに小さく手を振った。