novel long1

□月 華 -GEKKA- 
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 第六章 哭 慟



(6-1)


自分の手の平をクナイで突き刺したナルトは、傷ついたその手を振り上げ、自分に向かってくるサクラに向けて一気に振り下ろす。

ナルトの手を伝い流れていた血は、振り下ろされる腕を防ぐように身構えたサクラに向けて飛散する。


どんな些細な事をも見逃すまいとナルトはその様子を食い入るようにして見ていた。


紅の花を咲かせるようにナルトの血沫が散ったサクラは
顔の前で交差された腕の隙間から、ナルトを見ていた。



その瞳には紫の中に翠が差していく。




先程見たわずかな翠色

自分の良く知るサクラの色…



「……ナルト」



小さく零れるように聞こえてきた、愛しい声



「サクラちゃん」



翠色が広がったサクラの瞳から、涙が零れ落ちる。
サクラの頬に手を添え涙を受け止めたナルトの手にサクラの手が重なる。


「私は…ナルト…殺したくないの」


そう言うとサクラはナルトの手をすり抜けるようにして後ろへ跳びナルトから離れた。
同時にクナイを握りなおし、自分の首筋へとその刃を向けた。





「サクラちゃん!ダメだーーー!!!」




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