novel long1
□月 華 -GEKKA-
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第四章 追 走
(4-1)
上空に白い大きな鳥が飛んでいた。
その背からサイは里を見降ろしサクラの姿を探していた。
サクラはナルトの所へ行くといのに言われたので、ナルトの任務先へ行ってみたがすでに帰宅した後だった。
任務先からナルトの家までの道程を辿ってみたがナルトの姿はなく、サクラの姿も見かけなかった。
先程のいのと部屋の様子から、サクラに何か非常に危険な状況が起きているのだろうと察しがつく。
サイは広範囲から二人を探すため己の術で上空へと飛んだのだった。
里の家並みの中に二人の姿は見つからない。
どの方角へ…とサイが里の外れを見やった時だった。
地面の割れる音がして土埃と森の木々が倒れていく
そして森の木々で眠っていたであろう鳥達が一斉に月明かりに飛び立つのが見えた。
「あそこか…」
そう呟くと、サイは流れるような動きで巻物を広げ収納されている筆と墨を出す。
「墨分身の術!」
ボンッという音とともにそこにもう一人のサイが現れる。
「急いで」
と一言、分身の自分に指示を出す。
分身のサイは木々の間を風を切るようにして飛んで行った。
それを横目で確認し、サイは木々が倒れて行った場所へと向かう。
里を見降ろす高台に立つカカシは、木々の倒れる音を聞きその方向へと向かう。
少し進んだところで、サイがこちらに向かっているのに気づいて足を止めた。
「第三演習場にサクラとナルトが居るようです。今、僕も向かっています」
「わかった。すぐ向かう」
「僕はこのまま火影様に報告に行きます」
「宜しく頼むよ」
カカシは第三演習場へ向けてスピードを上げた。
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