novel long1

□月 華 -GEKKA- 
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 第三章  月 華


(3-1)



 木の葉が襲撃されてから3週間が経ち、サクラの傷は順調に回復し今は自宅へと戻っていた。
サクラを一人にしないように必ず誰かが側に付いている。
夜はいのやヒナタなどの気心の知れたメンバーが一緒に過ごすようにし、ナルトも任務の合間を縫って必す顔を出していた。
自宅付近にもすぐに駆けつけられるように常に何名かが控えている。

それから更に1週間ほど、特に変わったこともなく日々は過ぎて行った。


窓辺でサクラといのは、夕方から夜へと移り変わっていく空を見ていた。
徐々に夜の色に染まる空には白い月がぼんやりと浮かんでいる。


「見て、なんか不思議な感じだよねぇ」


いのが白い月を指差しながら言う。
サクラも月に視線を向ける。

空には消えてしまいそうな白い月が浮かんでいた。
現実と幻想の狭間に浮かんでいるような、夕方や明け方に見るこの白い月がサクラはなんとなく好きだった。

二人はぼんやりとその月を眺めていたが、風が少し冷たくなってきたので部屋の中へと戻った。
夕食をとりくつろぐ二人は先ほど見た月の話をしていた。


「あの色合いって、すごく微妙よね〜」

「そうね、でも私はあの月好きよ。夕月とか黄昏月とかいうみたい」

「ふーん。まん丸だったわよね。今日って満月?」

「どうだろ?前回っていつ……」


そこまで言ってサクラは思い出していた。


自分が目的だと言われたあの日は、満月ではなかっただろうか?
確か満月だったはずだ。
あれから二十八日。今日がちょうど次の満月。


―― 何だろう…胸の奥がざわつく感じがする。



「ほら見て〜。やっぱり満月だよ。さっきとは全然違う!きれいに光ってるわ」

サクラは楽しそうに笑ういのの立つ窓辺へと近づく。
窓からは大きな満月が浮かんでいるのが見えた。


 ド ク ン …



サクラは自分の中で何かが動く音を聞いた。


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