novel long1

□月 華 -GEKKA- 
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 第二章 契  


(2-1)


 病院の一室で、ナルトは眠るサクラを見つめていた。
昨夜ナルトはサクラを助け出しそのまま病院へと運んできたのだが、その後サクラはまだ一度も目を覚ましていなかった。

綱手は体の方は特に心配はないと言っていた。
かなり疲弊しているのでしばらくは眠り続けるかもしれないとも。

「サクラちゃん…」

そっとサクラの髪をなでる。

眠るサクラのには無数の傷があり痛々しくて、ナルトは顔を歪めた。
サクラが負った傷を自分が代わりに負う事ができたなら…と思う。

この華奢な体で敵と向き合い、仲間を守りそして傷を負う。
傷付いたサクラを見ると自分が代われるものなら全て自分がその傷を負っても構わないと、ナルトはいつもそう思うのだ。
九尾のおかげで自分は傷の治りが早いのだから。


 今回はチームが別々だったとはいえサクラを守ってやれなかった事が悔しくてならない。
サクラは一人で爆発から逃げ敵と対峙していたのだ。
もし自分が側に居たら……
悔やんでも仕方がない事だとは分かっているのだが、ナルトは悔やまずにはいられなかった。


あの結界の中で、一体サクラに何があったのか。
ナルトには全く分からない。
サクラの額に付いていたあの血文字は何を意味するのだろうか……

「はぁ……」

考えてもナルトにはさっぱりわからない。思わずため息が零れた。
その日、サクラはとうとう眼を覚まさなかった。


次の日ナルトは午前中の任務を終え、すぐにサクラの病院へと向かった。
病室に入るといのが来ていた。

「まだ眼を覚まさないのよ……」

サクラの手を握りながらいのが悲しそうに呟いた。

「ナルトがきたから交代。あと宜しく」
そう言うとサクラの頬を優しく撫で、
何かあったらすぐ連絡てねと言い置いて帰っていった。


「サクラちゃん……」


ナルトはベット脇の椅子に座り、ベットの上に置かれたサクラの手を優しく包むようにそっと握りながらサクラの名を呼んだ。

自分の手にサクラの温もりが伝わってくる。
未だ目を覚まさないサクラが自分の目の前に確かに居るのだと、その優しい温もりはナルトに伝えてくれる。


早く目を覚まして欲しい…
声を聞かせて欲しい……


ナルトは自分の手の中でサクラの手が微かに動くのを感じて、慌ててサクラの顔を覗き込んだ。


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